夏のボーナスはアップしたけど、所定内給与は13カ月連続でダウン

厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報)で、6月の現金給与総額(事業所規模5人以上)が5カ月ぶりに増加した。夏のボーナスなど特別に支払われた給与が、前年比0.4%増と伸びたことが主因…
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厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報)で、6月の現金給与総額(事業所規模5人以上)が5カ月ぶりに増加した。夏のボーナスなど特別に支払われた給与が、前年比0.4%増と伸びたことが主因。

一方、所定内給与は前年比0.2%減で13カ月連続で減少。一時金を除く賃金の上昇はまだみられない。政府はアベノミクスの成否を握る賃金の上昇を促すため、政労使の会議を設ける予定だ。

<給与総額は前年比0.1%増、夏のボーナスなどで増加>

6月の現金給与総額は1人平均で43万3568円。前年比では0.1%増となり、5カ月ぶりに増加した。夏のボーナスなど特別に支払われた給与が前年比0.4%増の17万1792円だった。

一方、所定内給与は前年比0.2%減と13カ月連続で減少している。所定外給与は前年同月と同水準だった。

所定内給与のマイナスが続いていることについて厚生労働省では「パートタイム労働者の構成比が増えている要因がある」と分析している。一般労働者の所定内賃金はこのところ若干のプラスを続けており、6月も前年比0.1%増となっている。これに対し、賃金の低いパートタイム労働者の増加が全体を押し下げているかたちだ。

<所定内賃金の上昇、年内は困難か>

日本総研の主任研究員、松村秀樹氏は今回の数字について「かなり厳しいものだった」と指摘する。ボーナスの伸びも中小企業にはさほど波及しておらず、所定外賃金も製造業で減少した。ウエートの大きい所定内賃金の動向については「今年いっぱいは(上昇は)難しいだろう」とみる一方で「来年になれば物価上昇が多少は反映される」と予想している。

<アベノミクスの成否握る政労使交渉>

アベノミクスの成功には、賃金が上昇し、それを受けて消費が上向き、民間投資を促す好循環が動き出すことが必要になる。このため政府は近く政労使による交渉を開始し、賃金上昇に向けた取り組みを進める考えだ。甘利明経済再生担当相は30日の会見で「生産と消費の好循環などいろいろあるが、自然な成り行きで好循環が回るの待つのでなく、それを人為的に速く回すよう取り組む会議にしたい」と意欲を見せている。

(石田仁志、中川泉、吉川裕子;編集 田中志保)

*内容を追加します。

[東京 31日 ロイター]

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