消費増税しても、ブランド品は買いますーー。
民間調査会社の矢野経済研究所は8月9日、消費増税が与える海外ブランド商品購買行動への影響に関するアンケート調査結果を発表した。調査によると、消費増税後の海外ブランド商品購入について、「影響はない・影響は少ない」とする回答が全体の66.2%、「影響がある・影響が大きい」とする回答は13.2%という結果となり、消費増税はブランド品購入にはさほど影響はないという結果となった。
調査は、2013年6月に、インターネットアンケートの形で実施し、過去2年内に海外ブランド商品を購入したことがある、18~69歳の男女約6,000名を対象とした。
消費増税の影響について「消費増税はあまり関係がない」と回答したのは、男性が28.1%、女性が19.4%となり、男性のほうがブランド品購入に意欲的だということがわかる。
また、「消費増税時、欲しい商品は購入すると思うが、衝動買いは少なくなる」と回答したのは、男性26.7%に対し、女性は28.4%、「増税当初は購入をしなくなるかもしれないが、慣れてくると、欲しい商品があればまた購入し始める」と回答したのは、男性13.2%、女性が16.6%ととなり、ブランド品に対する購買力は持続するものと考えられる。
このような結果となったことについて、同研究所は下記のように分析している。
2013年に入ってからも為替変動や原材料費高騰を理由に値上げを行なったブランドも少なくない等、海外ブランドユーザーもこうした動きには慣れてしまい、海外ブランドの商品価格上昇に対する懸念(警戒感)は低いことが示唆される。
(矢野経済研究所「消費増税が与える海外ブランド商品購買行動への影響に関するアンケート調査結果」より。 2013/08/09)
海外ブランドは、円安の影響などで今年に入って値上げを行なっている。ルイ・ヴィトンは今年2月に平均約12%、そして7月に平均約8%値上げした。4月には、ティファニーやカルティエがそれぞれ約10%値上げしている。今後消費増税があると更に商品は値上げされるかもしれないが、それでも買いたいという理由は何か。
ブランドの調査会社、Millward Brown Optimorの調査『BrandZ Top 100』によると、高級ブランドの市場価値は、今年度は昨年度比で6%伸びたという。BrandZは、ブランドの市場価値が伸びたキーポイントを“信頼性”と分析している。老舗ブランドは伝統を強調し、新しいブランドは品質の確かさをストーリー立てしていたという。
7月30日に野村総合研究所が発表した調査結果によると、「こだわりのないものについては安くすませ、こだわるものにはたくさんのお金を費やす」という消費者像が出てきているという。
また、「とにかく安いものを買う」という人は全体で28%にとどまり、「普段から、節約するものとお金をかけるものとを分けている」とするメリハリ消費派が68%を占めるとのことだ。
さらに同調査は、情報の多さに疲れ、リアル店舗での買い物に回帰する消費者の動きを指摘している。
このような状況からか、エルメスは名古屋に“4”店舗目の新店舗を、9月15日に出店すると発表している。ブランド好きの名古屋気風や、アベノミクスの効果などもあり、強気の出店攻勢をかけるとのことだ。
モノが溢れ返っても給料はなかなか上がらない。そんな状況で消費者の購買心理がシビアに変化してきた。モノを売る側には、消費者を納得させられる品質と、わかりやすく伝えるストーリー、両方が求められている。
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