元日銀審議委員の中原伸之氏は12日公表された国内総生産の4─6月期1次速報を受けてロイターの取材に応じ、景気が回復してもデフレから脱却できるとは限らないとして、来年4月の消費増税見送りを提唱した。
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消費増税など財政再建の着実な実行は、円高要因でもあるとの見方も示した。
中原氏は過去15年の間、数度の景気回復局面でもデフレ脱却は実現できなかったことから「景気回復とデフレ脱却は別物」と強調。日銀の異次元緩和で物価上昇が進むと期待できる「来年秋まで消費増税は見送り、その後毎年1%ずつ5年間引き上げるのが望ましい」との見解を示した。
消費税を来年4月に予定通り現行の5%から8%に引き上げれば「日銀が2006年に実施した量的緩和解除とゼロ金利解除を合わせたような強力な悪影響がある」と指摘。増税による景気下押しに対する措置として補正予算を組む議論についても「ナンセンス。消費税を上げず補正も出さないのが望ましい」との見方を示した。
国の借金が6月末で初めて1000兆円の大台を超えたが、政府の資産を差し引いた「純債務残高は459兆円に過ぎず日本の財政破たん懸念はない」と強調。
また、海外には一段の円安進行をけん制したい国も存在すると指摘。そうした状況の下で、通貨の信認を高める財政再建を進めることは、市場に円高の作用をもたらすことになるとし、現時点での財政再建は「国際的に円高を誘導するような効果を発揮させる面がある」との見解も示した。
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(竹本 能文;編集 石田 仁志)
[東京 13日 ロイター]
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