「自閉症の僕が跳びはねる理由」自閉症の少年が綴った日本の書籍が英国でベストセラーに

今、英国で、日本の少年が綴った一冊の本が話題になっています。本のタイトルは、「The Reason I Jump: One Boy’s Voice from the Silence of Autism」(原題「自閉症の僕が跳びはねる理由──会話のできない中学生がつづる内なる心」)。著者は、重度の自閉症を抱えて執筆活動を行う作家の東田直樹さん。東田さんが13歳のときに自らの抱える自閉症について語ったものが、このたび英語に翻訳され、英国で発売されました。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」日本の少年の書籍が、英国でベストセラーに

今、英国で、日本の少年が綴った一冊の本が話題になっています。

本のタイトルは、「The Reason I Jump: One Boy's Voice from the Silence of Autism」(原題「自閉症の僕が跳びはねる理由──会話のできない中学生がつづる内なる心」)。著者は、重度の自閉症を抱えて執筆活動を行う作家の東田直樹さん。東田さんが13歳のときに自らの抱える自閉症について語ったものが、このたび英語に翻訳され、英国で発売されました。

【発売から数週間でベストセラー】

日本では6年前の2007年に発表された同著。英語版は、著名な英国人作家が翻訳を務めたこともあり、発売前から英国の大手新聞などで取り上げられ、書店には多くの予約が殺到しました。

先月7月1日の発売後、わずか数週間でベストセラーとなり、取り上げるメディアの数も増え、ますます大きな反響を呼んでいます。

【自閉症者本人が、自閉症について語る】

本書は、「どうして上手く会話できないのですか?」、「どうして目を見て話さないのですか?」といった自閉症に関するさまざまな質問に対して、東田さんが答えるパートと、その合間に挿入されるいくつかの短編小説から構成されています。

これまで、ダスティン・ホフマン主演の映画「レインマン」や小説などのフィクション、自閉症についての学術書、自閉症者の家族による体験記などは多く存在しますが、自閉症者本人が自閉症について語る本は稀。あまり知られていない自閉症者の心のありようについて、自閉症者を肉親に持つひとたちのみならず、多くの一般の人々にも深い感銘を与えています。

【翻訳者は自閉症の息子を持つ作家】

この本を翻訳した、英国人小説家デイヴィッド・ミッチェル(「クラウド・アトラス」、「ナンバー9ドリーム」の著者)、ケイコ・ヨシダ夫妻自身も自閉症の息子を持ち、ある日この本に出会いました。本を手に取り、「まるで初めて息子が、彼の頭の中で起こっていることについて、直樹の言葉を通じて、私たちに語りかけているかのように感じたんだ」という感想を抱き、この本の翻訳を決意したといいます。

同書を販売するAmazon UKのカスタマーレビューには、発売からわずか2ヶ月足らずにもかかわらず、非常に多くの意見が寄せられています。「自閉症への見方が変わった」、「希望を与えてくれる」などの好意的な意見が多くを占めています。

8年前に、東田さんがアルファベットの文字盤を指さし、彼の母親が書き起こした彼の言葉は、ミッチェル夫妻の翻訳によって、遥か遠くの世界の人々にまで届けられることになりました。同著はアメリカ、カナダで8月末に発売される予定で、英語圏を中心にますます広がりをみせています。

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