米国家安全保障局(NSA)の機密文書を公開した「ガーディアン」紙のアラン・ラスブリッジャー編集長は、8月19日付けのコラムで、英国の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)から派遣されたふたりの「セキュリティ専門家」が、同紙のロンドン・オフィスにやってきて、同紙が所有していたハードディスクの破壊作業に立ち会ったことを明らかにした。
ラスブリッジャー氏によると、2カ月ほど前から、英政府高官から、機密文書の破棄または引き渡しを行なうよう要求されていたという。
1カ月前には、政府の中心的人物から電話があり、「十分に楽しんだだろう。そろそろ例のものを返してもらいたい」と告げられたという。
その後、英国政府の謎めいた人物たちとのミーティングが数回あった。彼らの要求は一貫しており、スノーデン氏の資料を返却するか、破棄せよというものだ。要求に応じた場合、この問題についての調査や報告ができなくなるとわたしは説明した。英国政府から来た男性は不可解な表情をしていた。「あなたがたの結論は明らかだ。これ以上書く必要はない」
ラスブリッジャー氏はあるミーティングで、英国政府が報道を差し止めるために法的措置を取るとしても、ガーディアン紙は単に英国以外の場所から報道することができる、と説明した。
男性の意志は変わらなかった。そして、ガーディアン紙の長い歴史の中でもかなり奇妙な瞬間のひとつに数えられることが起きた。GCHQから派遣されたふたりのセキュリティ専門家が、ガーディアン紙の地下で行われたハードディスクの破壊作業に立ち会ったのだ。それは単に、バラバラになった金属片の中に、中国のスパイの手にわたるような関心を惹くものがないことを確認するためだった。われわれが「MacBook Pro」の残骸を片付けていると、セキュリティ専門家のひとりが、「これでやっと、ブラック・ヘリコプター(陰謀論に登場する「ブラックメン」のヘリコプター版)を去らせることができるな」とジョークを言った。
なお、今回の件に関するほとんどの記事を書いた記者、グレン・グリーンワルド氏のパートナーであるデイヴィッド・ミランダ氏は、先週末にロンドンのヒースロー空港で9時間(英国の法律で許される最長時間)にわたって拘束を受け、各種の電子機器を押収された。
ラスブリッジャー氏はこれらの件にもかかわらず、ガーディアン紙はスノーデン文書について報道を続けると述べた。「ロンドンでは行わないだけだ」
グリーンワルド氏も、今後も情報の公開を続けると述べている。「わたしは今後、よりアグレッシブになる。より多くの文書を公開するつもりだ。英国のスパイ活動のシステムに関しても多くの資料がある。彼らは自分たちがしてきたことを後悔するようになるだろう」
[Adam Goldberg (English) 日本語版:ガリレオ]