松江市内の学校図書館で、漫画『はだしのゲン』の閲覧制限が撤回された騒動について、ハフポストの読者からは「子ども達の意見を無視しているのでは?」と苦言を呈する声も出ている。
『はだしのゲン』は、広島市出身の中沢啓治さんが被爆体験をもとに描いた漫画。全国の多くの学校図書館に所蔵されているが、昨年12月、松江市教委は「子どもにトラウマに与えるような暴力シーンが出てくる」との理由で、全巻について「閲覧の際は教師と一緒に見るように」とに各学校長に要請。市内の全ての市立小中学校で、自由に読めなくなっていた。
「子供が読むべき本」として、多くの学校図書館に所蔵されている『はだしのゲン』に対して、「子供向けではない」として閲覧制限を市教委が要請することになった今回の事件。はたして『はだしのゲン』は子ども達に読ませるべき漫画なのだろうか。
全国学校図書館協議会の森田盛行理事長へのインタビュー記事に対して、以下のようなコメントが寄せられている。
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■『はだしのゲン』を学校図書館に置くことを疑問視する意見
私には「子供たちの知る権利」を侵害したというよりは、大人の「読ませたい図書を置く権利」を侵害したと騒いでいるようにしか見えません。「子供たちの知る権利」を尊重するというなら、まずは、どのような漫画を置きたいかと子供たちに意見を聞くべきと思います。その上で「はだしのゲン」を読みたいという意見が多かったら残せば良いだけでしょうし、他のエログロ漫画を読みたいと言ったとしても蔵書すべきですね。”どんな内容が描かれていても、子供たちの読解力、判断を信用する”という立場であるならです。
作者の方が、子供たちの性までもを念頭におかれて書かれた作品なのかどうか、知る由もありません。ただ少なくとも性教育の観点においては、人間の性というものについて基本的な知識を得る前に、暴力による性を学ぶ、という点で、ふさわしい作品ではないと思っています。
子供はそう簡単に政治的に偏ったものに転ばないと言う方もいますけど私は違いました。ちゃんと先生の仰るとおり、歌の本の巻末にある君が代の上に校歌の紙を貼って国歌は口パクしましたよ。感情論をいえばそういう教師の組合の教義に則って書かれた本を置いてほしくありません。
一方で、『はだしのゲン』は長い間、学校図書館で置かれてきた歴史を尊重する意見もあった。今回の騒動を「なぜ今になって騒ぐのか」と、閲覧制限に反対する声も多い。
■『はだしのゲン』の閲覧制限に反対する意見
はだしのゲンは、突然昨日今日学校図書館に置かれたのではなくて、出版以来の長い歴史があります。親も、子供たちもその存在を知っていて、内容も理解していて、其れで図書館に置かれることを承認してきました。その歴史の中のある日突然、残虐だとか相応しくないと言い出すのは、何かおかしい。
ちなみに、学校図書の選定に関しては、文部科学省や全国学校図書館協議会などの示す選定基準を参考に、さまざまな指標の総合的な評価で選んでいるはずです。ある指標(ここでは性教育の視点)が明らかにマイナスだからといって、必ずしも図書としてふさわしくないというようにはならないのだと思います。
【※】このように様々な意見が出ています。はたして『はだしのゲン』は学校図書館が所蔵して、子ども達が自由に読むべき本なのか否か。皆さんはどのように思いますか?