スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2013年のノーベル物理学賞をイギリス・エディンバラ大学名誉教授のピーター・ヒッグス氏(84)とベルギー・ブリュッセル自由大学名誉教授のフランソワ・アングレール氏(80)に贈ると発表した。ヒッグス氏はすべての物質に質量を与えたとされる「ヒッグス粒子」を予想し、アングレール氏が素粒子が質量を持つしくみを解明した。2人は事前予測でもノーベル物理学賞の最有力候補にあがっていた。
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ヒッグス粒子は1964年にヒッグス氏がその存在を提唱。137億年前のビッグバン以降、物質に質量を与えたとされている。物理学の標準理論を構成する最後のピースとも言われている(朝日新聞デジタル「ヒッグス粒子発見か、確定にはさらなる分析必要」2012/7/4)。
ヒッグス粒子は素粒子物理学の基礎となる「標準理論」の中で唯一見つかっていなかった素粒子だ。宇宙がいかにして現在の姿に至ったかを解明する意味がある。
ヒッグス粒子は、137億年前の「ビッグバン」によって宇宙が誕生した直後に、光速で飛び回る素粒子に対して水あめのように作用して、動きにくくしたと考えられている。この「動きにくさ」こそ、質量を持ったことを意味する。
宇宙はその後、少しずつ温度を下げ、動きにくくなった素粒子はやがて相互に結びつき、陽子や中性子を形成。それらは原子や分子を形作り、物質やわれわれ人間、それらすべてを含む今の宇宙になったとされる。
(「ヒッグス粒子か、発見 万物の重さの起源 国際チーム発表」)
NHKニュースによると、ヒッグス氏らの予測後、半世紀近くたってもヒッグス粒子は発見されなかった。しかし、2012年7月、日本を含めた国際的な研究グループが巨大な加速器を使った実験で発見した。
賞金800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)は、2人で分ける。
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