羽田空港へ新鉄道路線、JR東日本が検討 休止中の貨物線を軸に

JR東日本は、都心と羽田空港を結ぶ新たな旅客鉄道路線の整備について検討に入った。検討案は休止中の貨物線を活用するルートが軸になっている。
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JR東日本は、都心と羽田空港を結ぶ新たな旅客鉄道路線の整備について検討に入った。NHKニュースが11月9日朝、伝えた。

NHKによると、検討案は休止中の貨物線を活用するルートが軸になっている。

関係者によりますと、JR東日本が検討に入ったのは、山手線の田町付近から海岸部を通って羽田空港方面に向かう現在休止中の貨物線を活用した新しい鉄道路線です。空港付近でトンネルを造って貨物線と空港とを直結させ、都心から列車が直接乗り入れるルートを軸に検討を進める方針です。

(NHKニュース「JR 都心と羽田結ぶ新路線整備検討 」より 2013/11/9 4:00)

朝日新聞デジタルによると、2020年の東京オリンピック開催で、需要が増えると見込まれる羽田空港の需要を取り込むことを狙っているという。

羽田空港は、来春から国際線の発着枠が増えるうえ、東京五輪の開催で大幅な利用客の増加が見込まれている。現在、都心から羽田空港への鉄道アクセスは、東京モノレールや京浜急行が担っているが、増大する需要への対応が大きな課題になっている。JR東は今年10月、重点的に取り組む事項の一つとして、同空港へのアクセス改善を経営構想に盛り込んだ。

(朝日新聞デジタル「羽田―都心の新路線、JR東日本検討 五輪で利用増予想:」より 2013/11/9 15:02)

一方で時事ドットコムは、新たなトンネルが難工事となり、開業が2020年までに間に合わない恐れを指摘している。

空港ターミナルに直結するには、新たなトンネルを掘削して線路を延伸することが必要となる。東海道貨物線は羽田空港をかすめるように通っており、空港の業務に支障がないように掘削するのは容易でない。このため、7年後の東京五輪に間に合わない恐れもある。

(時事ドットコム「羽田アクセス、貨物線活用=東京五輪にらみ検討-JR東日本」より 2013/11/9 10:21)

この計画は、2000年の運輸政策審議会で「今後整備を検討すべき」と位置づけられたが、進展していなかった。

羽田空港や成田空港と都心のアクセスを改善する鉄道路線としては、既存の京急線と京成線を短絡する新線をつくり、東京駅と直結させる構想もあった。しかし朝日新聞は2013年9月、完成が2027年ごろになるとの見方を報じていた。

丸の内の地下40メートルより深い地点に「新東京駅」をつくり、京成線の押上駅と京急線の泉岳寺駅を結ぶ。これにより、成田、羽田両空港が一本でつながり、新東京から成田空港まで36分、羽田空港までは18分で行けるようになるという。現在、東京―成田空港は55分程度かかり、大幅な短縮となる。

まだ、調査段階だが、実現すれば、「空の玄関」から都心への接続の良さをアピールできる。公共事業に強い自民党国会議員は「どんどん計画を進めるべきだ。問題は2020年の五輪に間に合うかどうか」。ただ、国土交通省は「実現しても27年ごろの完成見込み」としている。

(朝日新聞デジタル「(2020東京五輪)交通インフラ、追い風期待 追加整備は限定的の見方も /東京都」より 2013/9/11)

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