冬のボーナス、上がるのは一部の大手企業のみか?大手平均約82万円を業種別に見ると...【争点:アベノミクス】

冬のボーナス、大手平均は約82万円の見込みだ。しかし、上がるのは、一部のみかもしれない。業種別に見ると、特に非製造業では、ほぼ変わらないという数字が見えてくるのだ。
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冬のボーナス、大手平均は約82万円の見込みだ。しかし、上がるのは、一部のみかもしれない…。

経団連が11月13日に発表した冬のボーナス妥結額の第1回集計によると、東証一部に上場する従業員500人以上の大企業のうち、76社の平均妥結額は一人あたり平均82万2121円だった。昨年の70万2943円に比べて5.79%増え、バブル期の1990年(6.15%)以来、23年ぶりとなる高い伸び率となった。

回答が得られた76社について昨年と比較してみると、特に大きく伸びた業種は自動車で、91万5818円と前年比13.02%増。セメントも71万2049円(前年比7.14%増)、食品も77万5768円(同3.12%増)とそれぞれ伸びている。反面、紙・パルプは62万6875円と前年比5.42%減。化学も74万3855円で前年比4.43%減となり、業種によってばらつきが見られる。

自動車は、円安と、北米市場が好調に推移したことで利益を伸ばした。食品も、原材料価格の上昇に円安が加わり、仕入・調達コストの上昇分を商品価格へ転嫁できなかった企業は利益を圧迫したが、商品の売上を伸ばした企業は利益を拡大させている。

しかし、伸び率が大きいのは製造業に偏っており、回答が得られた76社のうち、製造業は83万4051円と、昨年の78万6933円に比べて5.99%増えているが、非製造業では64万1081円(前年比0.27%増)とほぼ横ばい。また、製造業の金額に関しても、リーマンショック前の状況に戻っているとは言いがたい状況だ。

10月に労務行政研究所が発表した、東証一部上場企業206社を対象にした調査によると、冬のボーナス妥結水準は平均で67万8793円となっているが、非製造業では60万6147円と、去年の62万4288円と比べると2.9%マイナスとなっている。製造業についても、69万7397円と、昨年の70万3190円と比べて、若干下がっている。

これらの調査結果から考えると、どうやらボーナスが上がるのは、製造業で、一部の大手企業のみと言えなくもない。

ニュースの教科書によると、政府が賃上げを要請しても、今後も平均給与は上がらないという見方ができるという。製造業の雇用者数が減少し、非製造業に吸収されている状況となっているが、非製造業の給料は製造業に比べて低くなっているからだという。

製造業から非製造業に労働者がシフトしてしまうと、労働者全体の平均給与は下がってしまうことになる。このため、政府が賃上げを要請して一部の企業がそれに応じたとしても、全体の賃金はなかなか上昇しない可能性が高い。

(ニュースの教科書提供記事「安倍政権の「賃上げ」要請、効果無い? 平均給与が上がらない可能性 その理由は?」より 2013/10/04 11:29)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートによると、非製造業の賃金は1997年をピークに、減少傾向が続いているという。

また、非製造業においては、非正規の労働者が増えていることも、平均給与の低下につながっていると分析している。製造業と非製造業の間で今後、賃金格差がさらに広がるのではないかとの見方もできそうだ。

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