中国が尖閣諸島上空を含む空域に設定した防空識別圏で、中国軍が自衛隊機や米軍機に緊急発進(スクランブル)をかけたと発表したことを受け、11月30日、小野寺五典防衛相は記者団に対し「きのう中国側が発表したような、何か急に航空機が接近して来るとか、あるいは、特異的な状況ということで公表するような事態はないと認識している」と述べ、中国の発表を否定した。朝日新聞デジタルなどが報じている。
小野寺氏は「防空識別区(防空識別圏)の設定前も中国機が飛んでいることは確認しているし、設定後に急に中国側の対応が変わったという印象はない」と指摘。そのうえで「中国がどのような航空機をどのような形で飛ばしているかは常時把握している」と述べ、中国側を牽制(けんせい)した。
(朝日新聞デジタル「中国機の「スクランブル」、日米当局は認めず」より 2013/11/30 11:53)
また小野寺氏は、「お互いに自制的に対応するのが常識」だと述べたという。
小野寺大臣は、「不測の事態が起きないよう、お互いに自制的に対応するのが常識であり、冷静に対応することが大切だ」と述べ、日中双方が事態をエスカレートさせないよう冷静に対応すべきだという認識を示しました。
(NHKニュース「防衛相 中国機接近の事態なし」より 2013/11/30 9:55)
■アメリカは中国へ飛行計画提出を航空会社に促す
29日付けのニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、アメリカ政府は、中国が設定した防空識別圏をアメリカ民間航空機が通過する際、中国側が求める飛行計画の提出などに応じるよう促す方針を決めた。民間機が思わぬ対立に巻き込まれるのを懸念したためだという。
アメリカ国務省は、29日、報道官の談話を発表した。NHKニュースが以下のように報じている。
アメリカ国務省は、29日、報道官の談話を発表し「アメリカ政府は、国際的に運航するアメリカの航空会社は外国政府が発表する航空情報に従うべきだと考えている」として、アメリカの航空各社に対し、中国当局へのフライトプラン=飛行計画書の提出を、事実上求めていく考えを明らかにしました。
一方で、「中国が設定した防空識別圏については引き続き深く懸念している」としたうえで、「今回の措置はアメリカ政府が中国の防空識別圏の設定に伴う要求を受け入れたことを意味するものではない」としています。
(NHKニュース「米 中国に飛行計画書提出の方針」より 2013/11/30 12:06)
日本政府は、中国の防空識別圏を容認しない立場から、日本の航空各社には飛行計画の提出に応じないよう要請している。また、これまでアメリカ政府は、B52爆撃機で防空識別圏内を飛行するなど、中国の防空識別圏を認めないという方針を示していたが、民間機を例外とすることで日本と異なる対応を取ることになる。MSN産経ニュースが以下のように報じている。
米政府はこれまで、B52爆撃機が防空識別圏内を飛行するなど、(1)防空識別圏を認めない(2)飛行計画の事前通告や無線の開放など、中国側が要求する措置には応じない(3)米軍の軍事行動に一切変更はない-との方針を明確にしてきた。
政府は米軍機については今後も、こうした方針を堅持するとしている。だが、民間機を例外とすれば事実上、米政府の原則の一角が崩れるうえ、日米の結束にも大きな影響を与えることになる。
(MSN産経ニュース「米、民間各社に中国へ飛行計画通告促す NYタイムズ」より 2013/11/30 12:13)
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