フィアット、クライスラーの完全子会社化で合意

イタリア自動車大手フィアット
Reuters

イタリア自動車大手フィアット

フィアットはクライスラーの筆頭株主ですでに約58.5%を保有する。今回の合意により、残りの41.46%を第2位の株主である全米自動車労組(UAW)の退職者向け医療保険基金(VEBA)から取得する。

VEBAに対しては36億5000万ドルが現金で支払われる予定で、このうち、19億ドルはクライスラーが、17億5000万ドルはフィアットが支払う。手続き終了後も、クライスラーはVEBAに対し、3年間で7億ドル支払うことになっている。

手続きは1月20日までに終了の予定。フィアットは、これに伴う株主割当増資(ライツイシュー)はないと表明した。

株式取得額は一部のアナリストの予想を下回った。この価格を基にすると、クライスラーの価値は90億ドル未満となる。7億ドルの追加的支払いを考慮に入れると、クライスラーの価値は105億ドルとなる。

フィアットとクライスラー両社の最高経営責任者(CEO)であるセルジオ・マルキオーネ氏は2社を統合し、世界第7位の自動車メーカーにすることを目指している。

ただ、完全子会社化がフィアットの欧州での損失削減につながるかは現時点では不明だ。フィアットの事業をてこ入れするには、クライスラーと技術や資金、ディーラー網を共有できるかにかかっているとみられる。

マルキオーネ氏はこれまで、VEBAとクライスラー株式の評価額をめぐり対立。昨年9月には、VEBAが2009年のクライスラー経営破綻の際に付与された権利を行使したため、クライスラーは新規株式公開(IPO)申請を余儀なくされた。今回の合意でIPOは回避される。

マルキオーネ氏は声明で、「統一された株式保有構造により、国際的な自動車メーカーをつくるというわれわれのビジョンを実現することが可能になる」とした。

クライスラーはグループの稼ぎ頭となっているが、フィアットとは別々に財務を管理してきた。完全統合によって両社間で資金の融通がきくようになるため、フィアットが自動車のラインアップを拡大するために利用可能な資金が増えることになる。[ミラノ/デトロイト 1日 ロイター]

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