育児や家事サポートする外国人労働者 受け入れ検討を提言へ 経済審問会議の民間議員

女性の社会進出を後押しするために、家事や介護をサポートする外国人労働者を、新たに受け入れるべきか。
Dejan Ristovski via Getty Images

女性の社会進出を後押しするために、経済諮問会議の民間議員は、家事や介護をサポートする外国人労働者を新たに受け入れる検討を始めるべきだとする提言をまとめた。現在は受け入れを認めていない家事代行などの分野でも、外国人労働者の受け入れを検討すべきだとしている。4月2日、NHKニュースが報じた。

(提言によると)少子高齢化による労働力不足が予想されるなかで、国内には育児や介護のために職に就けない女性が220万人以上いると言われていることから、こうした女性の社会進出を後押しする必要があるとして、家事や介護をサポートする外国人労働者を新たに受け入れることを検討すべきだとしています。

(NHKニュース「女性の社会進出へ 外国人受け入れ検討を提言」より 2013/04/02 04:20)

■現状のベビーシッターや家事代行の利用料金は高い

現在の日本で提供されているベビーシッターや家事代行サービスは、利用料金が高いことが指摘されている。

リクルートワークス研究所が2013年11月に発表した提言では、現状の日本の状況について「日本の男性の家事参加率は世界最低水準だが、それを急に高めることは難しい」として、家事・育児の受け皿を産業として整備する必要があると強調されている。

しかし提言では、現状ではベビーシッターや家事代行サービスの利用料金が高く、一般的な家庭では活用が難しいことが指摘されている。首都圏では1時間あたり、ベビーシッターサービス利用料が2000〜2500円、家事代行サービスが3500〜5000円と高額なためだ。リクルートワークス研究所は、コストダウンの方法として、ベビーシッターや家事代行サービスに従事する外国人労働者の受け入れをあげている。

たとえば、シンガポールでは約17万人のシッターや家政婦がフィリピンやインドネシアなどから入国しています。シッターや家政婦を個人が直接雇用し、彼女たちのための特別なビザも存在しますが、日本ではそもそも個人が外国人を直接雇用することはできません。

そこで考えられるのは、人材派遣会社などによる個人宅への家政婦・シッター派遣です。これを可能にして、例えば1時間あたり1500円でシッターや家事代行のサービスが受けられるなら、サービスを活用できる家庭の数は急増すると考えられます。

(リクルートワークス研究所「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」より 2013/11/27)

産業競争力会議の民間議員である長谷川閑史氏も3月19日、経済財政諮問会議・産業競争力会議の合同会議において、ベビーシッターや家事代行サービスが日本で浸透しないのは「利用料金」が原因だとして、税制措置やバウチャー(引換券)等で利用負担を軽減すべきと発言。同時にフィリピン人等による「ナニー」を例に上げ、育児・家事のサポート事業に従事する外国人労働者について、在留資格を与えることも検討すべきと述べている。「13歳のハローワーク」によると、長谷川氏が例に上げたナニーの賃金は時給1000円〜1600円程度だ。

■受け入れが認められていない外国人の単純労働者 インターネットの意見は……

外国人の日本での就労は、現在は研究者、専門職、教育者、ビジネスマン等のいわゆるホワイトカラーか熟練技能労働者などに限られており、いわゆる「単純労働者」の受け入れはできないことになっている。

また、治安の悪化や、日本人の失業の増加のほか、「日本人が就きたがらない仕事に,単に外国人が就けばいいという考えはよくない」など、受け入れに反対する意見もある。

報道を受けて、Twitterには「女性ばかりの負担を増やさず、日本にも早く外国人労働者をもっと受け入れて」や「外国人労働者の規制緩和を」という肯定的な声が上がっている。

一方、エジプト出身のタレント・フィフィさんは「外国人労働者の受け入れよりも、育児の資格保有者が働きやすくする政策を行うべき」と批判。日本の住宅事情にもナニー制度は合わないのではないかとも指摘している。

【※】育児や家事サービスに従事する外国人労働者の受け入れについて、あなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せください。

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