スペインのラホイ首相は6月2日、「民主化の象徴」として国民的な人気を誇った国王フアン・カルロス1世(76)が退位し、フェリペ皇太子(46)が跡を継ぐと発表した。スペイン国王の生前退位は異例。突然の発表で、スペイン国内や欧州各国で驚きが広がっている。時事ドットコムなどが報じた。
カルロス1世は近年、健康上の不安を抱えていたほか、次女クリスティーナ王女の夫の公金横領疑惑など不祥事も浮上。国民の支持も低迷し、退位を余儀なくされた。
国王は2日のテレビ演説で「76歳の誕生日を機に皇太子への王位継承を準備しようと思った。皇太子は新しい時代に国を導く用意ができている」と語り、国民に理解を求めた。
(時事ドットコム『スペイン国王が退位へ=「民主化の象徴」-フェリペ皇太子が継承』より 2014/06/02 21:08)
国王は1938年に亡命先だったイタリアのローマで生まれた。1975年に独裁政治を続けてきたフランコ総統の死去を受けて国王に即位し、民主化を推進して国民の支持を集めた。しかし近年は、健康不安に加えて、王族による公金横領疑惑などのスキャンダルが続いていた。
12年には象狩りに出かけた先のアフリカで負傷する騒ぎがあり、経済危機に苦しむ国民を顧みず旅行に出かけていたことに非難が集中。国王は「間違いだった」と異例の謝罪を表明していた。
また、国王の次女、クリスティーナ王女と夫のウルダンガリン氏は脱税や資金洗浄の疑いをかけられているが、本人たちは関与を否定している。
(CNN「スペイン国王が退位表明 皇太子に譲位」より 2014/06/03 11:35)
後継のフェリペ皇太子は198センチの長身で、1992年のバルセロナ・オリンピックにヨットで出場した経験がある。国民の人気が高く、世論調査では王位継承を過半数が望む結果が出ていたという。
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