取り調べ可視化、検察が大幅拡大へ 被害者や参考人にも実施

最高検は6月18日、取り調べの録音・録画(可視化)について、10月から実施範囲を大幅に拡大すると発表した。これまで裁判員裁判の対象事件や特捜部などによる独自事件で試行してきたが、これを原則実施に切り替える。
The Huffington Post

最高検は6月18日、取り調べの録音・録画(可視化)について、10月から実施範囲を大幅に拡大すると発表した。これまで裁判員裁判の対象事件や特捜部などによる独自事件で試行してきたが、これを原則実施に切り替える。さらに、容疑者を逮捕する事件全般に試行の対象を広げ、供述調書の信用性が裁判で争点になると検察が判断した取り調べを可視化する。被害者や参考人についても一部で試行する。時事ドットコムなどが報じた。

検察による取り調べ可視化は、2006年に一部の事件で試験的に始まり、大阪地検による不祥事などを機に徐々に対象が拡大してきた。現在は裁判員裁判対象事件や独自捜査事件、知的または精神障害者による事件に限定して試行されている。これら4類型の事件に関しては、10月からは正式導入となる。

対象を拡大した可視化の試行は、捜査段階と公判で供述が変わる可能性などを考慮した上で、検事の裁量で実施する。具体的には、物証が少ない贈収賄事件の容疑者、取調官に誘導されやすい性的暴行や虐待の被害児童、殺人容疑者の配偶者の取り調べなどが想定されている。既に一部の地検では、現場の判断で実施されているという。

(時事ドットコム「可視化対象事件を拡大へ=被害者、参考人にも実施-検察改革3年で・最高検」より 2014/06/18 20:05)

最高検は、既に全国の地検に通知した。2010年の大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を受けた検察改革から3年が経過したことを受け、新たな方針を明らかにした。

コトバンクは、「取り調べの可視化」について次のように説明している。

検察や警察の密室での取り調べを録画・録音し、透明性を確保すること。検察は06年、裁判員裁判の対象事件で開始。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件などを受け、地検に置かれた特捜部や特別刑事部でも昨年から試行されている。法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」では、法制化に向けた議論が進む。警察は08年に警視庁や大阪府警などで導入。09年4月には全国の警察本部に広げた。

(コトバンク「取り調べの可視化 とは」より)

一方、日本弁護士連合会などは「冤罪(えんざい)防止」の観点から、容疑者を逮捕しないケースを含めた全ての事件での可視化の実施を求めており、今回の範囲拡大でもなお隔たりがある

今後のポイントについて、朝日新聞デジタルは「法律で可視化を義務づける対象をどこまで広げるかが焦点になる」と指摘している。

可視化をめぐっては、法制審議会(法相の諮問機関)の「新時代の刑事司法制度特別部会」での議論が大詰めを迎えている。警察は裁判員裁判対象事件や、知的障害のある容疑者を対象に試行しているが、さらに範囲を広げることには否定的だ。今後は、法律で可視化を義務づける対象をどこまで広げるかが焦点になる。

朝日新聞デジタル「取り調べ可視化、検察が大幅拡大へ 被害者や参考人も」より 2014/06/19 07:49)

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