海上自衛隊の海将補が、ハワイ沖で行われている環太平洋合同演習(リムパック:RIMPAC)で多国籍部隊の司令官を務めている。日本の自衛官が多国籍部隊の司令官を務めるのは初めて。訓練は災害を想定した救援訓練であり、防衛省は「武力の行使を想定した訓練ではなく、集団的自衛権とは関係ない」としている。7月10日、NHKニュースが報じた。
ハワイ・オアフ島の陸上施設では10日、アメリカやオーストラリアの海軍など6か国が参加して、ハリケーンによる災害を想定し、被災した人たちを救援する訓練が行われました。訓練では、海上自衛隊の中畑康樹海将補が多国籍部隊の司令官を務め、アメリカ海軍の担当者から報告を受けたり、地元政府などとの連携を円滑に進めるよう英語で指示したりしていました。(中略)
中畑海将補は「自衛隊にとって大きな経験であり、ほかの組織との調整能力が向上していくと確信している」と話していました。
(NHKニュース「自衛官が初の多国籍部隊司令官で訓練」より 2014/07/11 13:37)
オープニングカンファレンスで質疑応答する中畑康樹海将補
リムパックは、2年に1度行われる世界最大規模の多国間海上軍事演習。1971年にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの海軍による合同訓練として開始され、1980年からは海上自衛隊も参加している。
今回のリムパックには、これまで参加していなかった陸上自衛隊も参加。2018年度に創設が予定されている日本版海兵隊「水陸機動団」を見据えての参加とされる。陸自は「憲法上の制約がある」として同盟を結ぶアメリカ以外との訓練は見送ったが、海自は「特定の事態や有事を想定した訓練ではない」として、2010年から多国籍間の訓練にも参加してきた。
2014年の訓練では、海自は対潜戦・対水上戦・対空戦・対機雷戦など各種戦術訓練を実施するほか、ミサイル発射訓練および、人道支援・災害救助復興訓練(HA/DR)などを実施予定。
3日から12日までの人道支援・災害救助訓練では、アメリカ軍の病院船などを動員して作戦を実施。昨年台風の直撃を受けたフィリピンで救援活動に当たった海自のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」を司令艦に、大規模災害を想定した負傷者搬送などを行う。真珠湾ヒッカム統合基地内に設けられた指揮所には、アメリカ・カナダ両国軍と自衛隊の要員約330人に加え、国連関係者ら文民も詰めて調整を行っている。
なお、政府は3日、ソマリア沖で海賊対策活動を行う多国籍部隊の司令官ポストに、自衛隊幹部を派遣する方針を固めている。
司令官ポストは、参加国が約3〜4カ月で持ち回りで交代しており、参加国の連絡・調整を行う。海賊対処は国際的には「警察権の行使」と位置付けられており、防衛省は司令官ポストについて、あくまで連絡調整であるため参加している部隊との関係は、指揮・命令の関係ではなく、他国の武力行使とは一体化しないと判断し、派遣を決めた。
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