[キエフ/ウランバートル 3日 ロイター] - ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力と政府軍の戦闘が続く中、ロシアのプーチン大統領は3日、事態打開に向けウクライナのポロシェンコ大統領に停戦案を提示した。
和平に一歩踏み出したかにみえるが、ウクライナ政府側は停戦案を「欺まん」と批判、オバマ米大統領も引き続きロシア側の出方を注視する姿勢をみせており、なお先行きは楽観を許さない。
停戦案は、ポロシェンコ大統領との電話会談でプーチン大統領が提示した。親ロシア派、ウクライナ政府軍双方の攻撃停止、人道援助のための「回廊の構築」、戦闘で損壊したインフラ(社会資本)の復興、拘束された兵士の交換など7項目で成る。
プーチン大統領は、停戦案について「停戦方法について、われわれ(プーチン大統領とポロシェンコ大統領)の考えはかなり一致しているように思えた」と記者団に語り、5日に予定される関係当事者(連絡グループ)の会合でウクライナ政府と親ロシア派の合意が達成されるとの見方を示した。
ポロシェンコ大統領は、プーチン大統領と和平に向けた措置で「相互理解」に達したとし、5日の協議で「和平プロセスがようやく始まる」ことに期待を示した。
ポロシェンコ大統領にとって、停戦案は政府軍が最近劣勢となっていただけに願ってもない話。さらに長引く混乱で疲弊した経済の立て直しを後押しする。
しかし、ウクライナ政府側からは批判の声があがっている。ヤツェニュク首相は停戦案を「欺まん」と切り捨て、「プーチン大統領の真の企てはウクライナの崩壊とソビエト連邦の再興」と指摘した。
ウクライナや米欧は、プーチン大統領が、停戦後もロシア系が多い東部での影響力を維持したい考えとみている。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を前にエストニアを訪問したオバマ米大統領は、停戦はロシアが親ロシア派への軍事支援を停止してこそ成立する、と指摘し、引き続きロシアの動きを注視する姿勢を示した。
フランスは、ロシアへの揚陸艦引き渡しを凍結。オランド大統領は、ウクライナ東部をめぐるロシアの動きは「欧州安全保障の基本に逆らうもの」とし、「現時点で引き渡しが認められるような条件は整っていない」と表明した。
ロシア大統領報道官は、停戦案に関し懸念が示されていることを踏まえ、ロシアは親ロシア派にウクライナ東部での高度な自治権を持つ「特別な地位」を付与する意向はないと説明。ロシアは戦闘の当事者ではない、との立場も示した。
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