オーストラリア政府は10月14日、中国など海外の富裕層を呼びこむために移民制度を改革し、2015年7月から新しい制度を導入すると発表した。1年間に1500万オーストラリアドル(約14億円)以上をオーストラリアに投資すれば、優先的に永住権を与えるとする。
オーストラリアでは鉄鉱石と石炭などの鉱業ブームで中国からの投資が広がったこともあり、移民が増加。2012年には「上級投資家ビザ(SIV:Significant Investor Visa)」という制度(サブクラス888)が作られ、500万オーストラリアドル(約4億7000万円)を少なくとも4年間、指定された投資先に投資すれば、居住権が得られるようになった。
ロイターによると、このビザの申請者の90%は中国人によるものだったとされる。また、CLSAアジア・パシフィック・マーケッツが2014年8月に発表した報告書によると、オーストラリアに移民する意向のある中国人の富裕層は約1000万人に上っているとされ、オーストラリア政府は移住の動きを加速させ、より多くの投資を呼び込むねらいだとみられる。
ところが、中国では富裕層に対する市民の批判が強まり、政府は汚職撲滅キャンペーンを開始。その一環として、政府職員に対して保有している資産や海外の居住権を公開するよう要請している。
しかし、香港を経由するなどの抜け道を使い、オーストラリアへ資産を移すケースが増加。中国人によるオーストラリア都市部での不動産の購入も増えている。
そのため中国外務相の報道官は10月14日、「海外の国々で、(不正蓄財の)逃亡者を追跡することは腐敗撲滅キャンペーンの重要な一部だ」と述べ、オーストラリアの新しい制度によって不正に蓄財された資産が海外に流出しないか警戒を強めている。
オーストラリアでは移民受け入れが成長を後押ししてきたこともあり、今回の移民制度改革では、富裕層だけでなく技術労働者層向けビザ(サブクラス457)の受け入れ条件も軟化するとしている。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー