DMMがロボット事業に参入 「スマホに代わる時代が来る」(画像集)

IT企業のDMM.com社が1月27日、ロボット販売事業を開始すると発表した。
Kenji Ando

IT企業のDMM.com社(東京都渋谷区)が1月27日、ロボット販売事業を開始すると発表した。ネットを介して成長する「スマートロボット」の販売を代行するプラットフォームを構築する。「DMM.make ROBOTS」というサイトでロボットをネット販売する。5月以降、計5社の小型ロボットが販売される予定だ。

■DMM.comの岡本康広さん「携帯電話のキャリアのような存在に」

DMM.comの松栄立也(まつえ・たつや)社長によると、2014年末にスタートアップ支援施設「DMM.com AKIBA」を東京・秋葉原の富士ソフトのビル内に設立した際に、同社がロボットを開発していることを聞いたのがロボット事業参入のきかけだという。「これは面白い!一緒にロボット事業やりましょう」とスタートしたものだという。

「ロボットはプレスリリースが出たものの、その後どうなったのか聞かない物も多い」ということで、会員数1000万人を超えるDMM.comのプラットフォームとしての強みを生かして、富士ソフトだけでなく、多くの会社のロボットの販売を手がけることになった。

DMM.comの岡本康広・ロボット事業部長は「(NTTドコモやAUのような)携帯電話のキャリアをイメージしていただくと分かりやすい。DMM.comは販売やプロモーション、海外展開などを担当するキャリア会社となり、ロボット開発ベンダーは開発に専念していただく一つの販売プラットフォームとなる」と話した。2015年の年間売上目標は30億円。2017年には100億円を目指すという。

今回、ロボット販売が決まったのは、富士ソフトの「Palmi(パルミー)」。ユカイ工学の「BOCCO(ボッコ)」、プレンプロジェクトの「PLEN.D(プレン.ディー)」。ロボットゆうえんちの「プリメイドAI」。また、デアゴスティーニ・ジャパンの「ロビ」組立代行バージョン。それぞれ華麗なデモを披露した。

■高橋智隆さん「ロボットがスマホに代わる時代が来る」

発表会では、「ロビ」の開発を担当したロボットクリエイターの高橋智隆さん(上写真)も登壇。「人型ロボットにしかできないことは、実はコミュニケーション」「ロボットがスマートフォンに代わる時代が来る」と、エールを送った。

高橋さんの主な発言は、以下の通り。

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今はIT産業の次はロボットと世界中が盛り上がっています。しかし、「日本はロボット先進国だ」「ロボットは日本のお家芸だ」と言われているのに、世界中から追いつかれて、もしかしたら追い抜かれているのではないか。何でそうなっているのかというと、これまでの日本のロボット開発は、どれもビジネスを見据えた物ではなかったんですね。しかし、世界ではシリコンバレーを筆頭にビジネスマインドを持った人達が開発しているな。これはまずいと危機感を持っていたときに、DMMさんがロボット事業に参入してくれた。

DMMさんが日本の知恵を集めて大がかりにやっていこうというのは、これによって日本のロボットが再び加速していくのではと感じたからです。今までの日本のロボットの研究開発は、私を含めて研究者自身、クリエイター自身の興味の中で面白い物を作ってきた。そういう意味では、世界の流れを見ていなかった。

世界の流れでは、ハードウェア・スタートアップというのが出てくる。これまではiPhoneのアプリなどソフトウェア中心だった。ロボットもベンチャーが活躍できると思われながら、なかなかその先に進まなかった。というのは、ハードウェアを作るのには投資とリスクが必要です。効率良くは儲からないわけです。

普及したハードウェアに新しいサービスを提供するというのは、効率良く儲かります。だから国を挙げて「ソフトの時代だ」「コンテンツの時代」と後押ししていました。しかし、虫のいい話はなく、アメリカもインドも中国も各国がみんな参加してくる。そこではもう新規性が出せない。商売にならないということになっている。

しかし、ハードウェアを作ろうとすると、投資が必要。リスクもあります。そこで「どこかリスクをしょってくれないかな」「ハードウェアのプラットフォームができないかな」と、お見合いをしてた。それがロボットの、ここ何年かの状況でした。

もう一つ、世の中の流れとして重要なのはスマートフォンの伸びが鈍化してきた。今、様々なサービスがスマートフォンにひもづいている。このスマートフォンがコケてしまうと、(経済界としても)とても困る。そこで世界中の技術者が、スマートフォンの次が何になるかを血眼になって探している。眼鏡型、時計型の端末も登場したが、なかなか普及していかない。

なぜかというと、スマートフォンがヒットした理由はインターフェイスを改善したことだった。つまりタッチパネルとモーションセンサーなどで、直感的な操作ができるようになったのが大きかった。次の機能として期待されていたのが、音声認識だった。しかし、精度は高いのに普及していないた。

でも、自宅で飼っている金魚やクワガタには、みんな話しかけるじゃないですか。つまり、四角い箱に話しかけるのに抵抗感があったんじゃないかと思います。だから、人型のロボットがいれば、違和感なく、こちらから話しかけることができる。話しかけることができれば、たくさんの情報が集まり、それをクラウドに集約してサービスとして返してくれることができると思っています。

今回、DMMさんで販売されるロボットはどれも小型で、人の形をしたロボットでした。人間型ロボットというと、力持ちで人ができないことをやってくれることが役に立つことだと思われていました。でも、人間型ロボットにしかできないことは、実はコミュニケーション・パートナーとなるために人のような動きをして、人のような形を取ることだろうと考えています。そこには日本が持っている文化と技術、両方が必要であって、まだ世界が気づいていないところですね。

日本発で小型のコミュニケーションロボットが、やがてはスマートフォンに取って代わると私は思っています。ロボットとやり取りをすることにより、作業をしてくれるわけじゃないけど、コミュニケーションを介して様々なサービスを還元してくれる。そういう存在になりうると思っています。

そういう物を売り出そうとすると、それなりの規模で売っていかないといけません。そういう意味では、各社で仲良くロボットの市場を作り上げていくつもりです。しかし近い将来、世界を席巻するキラーハードウェアになりうるロボットは、ただ一つの製品だと思っています。それこそiPhoneやウォークマンやファミコンのような革命的なデバイスは、ただ一つになるはずです。そのためにも、こういう場に才能やアイデアが集まることで(キラー商品となるロボットを)生み出せると思っています。

このような中で、DMMがロボットの面白さとリスクを承知の上で、参入していただいたことを歓迎したい。私自身も関わりながら、ロボットを一人一台の時代を10年以内に実現したいと思っています。

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