ポール・マッカートニー、イギリス伝統のキツネ狩りは「残酷で不必要」

ポール・マッカートニーは、イギリス政府が発表したキツネ狩りに関する狩猟法の改訂を非難し、「イギリス政府が大規模なキツネ狩りを再開させるなら、政府は国民の支持を失うだろう」と警告を発した。

イギリスのデイビッド・キャメロン首相は、7月15日にキツネ狩りに関する狩猟法を改定するための自由投票を行うと発表したが、これに対して多くの人たちが反対の声を挙げている。

その一人がビートルズのメンバーだったポール・マッカートニーだ。彼は投票を決めた政権に対して「イギリス政府が大規模なキツネ狩りを再開させるなら、政府は国民の支持を失うだろう」と警告している。

「自由投票」とは、国会議員が所属政党の方針に関係なく、自分の意志に基づいて行う投票だ。この7月15日の自由投票により、狩猟法は大幅に変わる可能性がある。現在の狩猟法では、キツネを追い込んで、銃で撃つために使ってもよい猟犬は、2頭までとされているが、改定が可決されると、多数の猟犬を用いたキツネ狩りが合法になるのだ。

イギリス政府環境局は、狩猟法改訂の目的を「大規模な害獣駆除のため」としているが、この問題は、イギリスの下院にあたる庶民院でわずか90分間しか議論されていない。しかしキャメロン首相は議会が政府に法律をつくることを委任する「行政委任立法」という制度を利用して、通常であれば何週間もかかるはずの審議を行わずに採決に持ち込もうとしている。

このやり方を、野党である労働党のマリア・イーグル氏は「法改定に必要な票数が得られないと見たキャメロン首相が、キツネ狩りを復活させるために窮余の策を採った」と批判している。

また、与党である保守党の議員からも批判の声があがっている。キャメロン内閣のスポーツ大臣、トレーシー・クローチ氏は「裏口をこっそり通るようなやり方で」キツネ狩りを再開させようとしていると首相のやり方に異論を唱えた

キツネ狩り禁止法を緩和すれば、政府は国民の支持を失うだろう、とポール・マッカートニーは警告している

ポール・マッカートニーと故リンダ夫人は、1969年の結婚以来、動物愛護活動家として様々な活動に携わってきた。

夫妻が支援してきた組織は「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PeTA)」や、「イングランドの農村を守る運動(CPRE)」「地球の友(FoE)」など数多い。そして1998年にリンダ夫人が亡くなった後も、ポール・マッカートニーの動物愛護の姿勢は変わっていない。

ポール・マッカートニーは故リンダ夫人とともに、動物愛護運動家として積極的な活動を続けてきた。

彼は今回の改訂に関して次のように発言している。

「イギリス国民は、現在の保守党政府の多くの政策を支持しています。しかしキツネ狩りが再開されるなら、国民の大多数は政府に反対する側に回るでしょう」

「キツネ狩りは残酷で、不必要なものです。わたしのような動物愛好家だけでなく、一般の人々の支持も失う結果につながるでしょう」

ボール・マッカートニーと同じく反対派の先鋒に立っているのが、イギリスのロックバンド「クイーン」のギタリスト、ブライアン・メイだ。ブライアンは7月9日に出演したBBCのテレビ番組「ニュースナイト」で、「キツネが増えすぎるという話はキツネ狩りを正当化する理由にはなりません。キツネ狩りの愛好家は、狩りをするためにキツネを繁殖させています。キツネ狩りはキツネを捕まえることを楽しみ、苦痛を与えることに喜びを感じている人間の問題です。そして、キャメロン首相は、それを合法化しようとしています」とキャメロン首相を激しく批判した。

これに対し、キツネ狩り支持団体「カントリーサイド・アライアンス」の代表ジム・バーリントン氏は、「キツネ狩りは残酷なものとして描かれがちですが、実際には野生動物の管理だ」と反論したが、ブライアン・メイは、「失礼ながら、それは詭弁です」と切り返した。

さらにブライアン・メイは、「キツネ狩りは汚らわしい前世紀の遺物であり、消えてなくなるべきものです」と述べ、狩りはあくまで「害獣駆除」であると主張するバーリントン氏を、「ウソつき野郎の集まりだ」と厳しく非難した

また、イギリスの俳優でコメディアンのリッキー・ジャーベイス氏も、動物愛好家としてキツネ狩り禁止の維持を強く望むと声を上げており、「上流階級のバカども」が「ドレスアップしてキツネを追い回し、猟犬がキツネを食いちぎってバラバラにするのを見たがっているのです」と、激しい言葉でキツネ狩りを糾弾している。

キツネ狩り反対運動はオンライン署名サイト「change.org」でも盛り上がっている。キャメロン首相に宛てた「キツネ狩り合法化を阻止しよう」というキャンペーンは、7月13日時点で賛同者が47万人を超えた。

議員や有名人、そして一般人まで多くの人がキツネ狩りに反対する姿勢を明らかにしているのとは対照的に、賛成派の議員たちは今のところ明確な主張をすることを避けているようだ。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]

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