警官に射殺された白人少年の遺族が連邦当局に介入を求める「黒人殺害の事件と同様に扱ってほしい」

アメリカ・サウスカロライナ州セネカで7月26日、警官に撃たれて死亡した19歳の白人少年ザッカリー・ハモンドさんの家族は8月11日、息子の死亡原因について調査するよう連邦当局の介入を求めた。

アメリカ・サウスカロライナ州セネカで7月26日、警官に撃たれて死亡した19歳の白人少年ザッカリー・ハモンドさんの家族は8月11日、息子の死亡原因について調査するよう連邦当局の介入を求めた。

代理人の弁護士エリック・ブランド氏とロニー・リッチャー氏がハモンド家を代表して声明を発表した。それによると、「ハモンドの人権が実際に侵害されたこと、そしてセネカ警察の捜査方針や手順、行為の透明化と独自調査が必要」として、公式に司法省と連邦地検、連邦捜査局(FBI)が捜査に介入するよう要求した。

7月26日、マリファナ取引をめぐるおとり捜査の最中に、白人警官のマイク・ティラー氏はハモンドさんを殺害した。警察は、ハモンドさんが「手の中を見せろ」との警察の要求を拒否してティラー氏がいる方向へ車を加速させたため、ティラーが命の危険を感じたと主張している。ティラー氏は至近距離から、運転手側の開いていた窓に向けて2回発砲した。検死解剖で弾がハモンドさんの左肩後ろと左脇に命中したことが判明している。ティラー氏の弁護士は、「ティラー氏自身と一般人の身の危険を食い止めるため」に、ティラー氏は殺傷力の高い銃を使用する必要があったと主張した。

ハモンドさんは死亡時、武器を持っていなかった。彼の車に同乗していた女性は後に、マリファナ所持の罪で逮捕された。彼女は10グラムのマリファナを所持していたと報じられた。セネカ警察によると、ティラー氏がハモンドさんを殺害してしまったハンバーガーショップ「ハーディーズ」の駐車場で、彼女は取引を仕組んだおとり捜査官にマリファナを売る予定だった。

ハモンド家の弁護士ブランド氏は繰り返し、セネカ警察が事件の真相を伝えていないこと、ハモンドさんの遺族に情報を提供していないことを非難している。ブランド氏は、ハモンドさんがティラー氏や誰かを脅かしたとの主張は「馬鹿げている」と話した。そして銃弾による外傷の場所を見れば、ティラー氏が違法にハモンドさんを撃ったことを示しているとの考えを繰り返した。ティラー氏は、警察官が発砲した際の事例に従い、サウスカロライナ州検察(SLED)の調査結果が出るまで休職扱いとなっている。

ハモンドさん射殺事件についてセネカ警察との主張が対立する一方、ブランド氏は8月11日、ハモンド家はSLEDの捜査、あるいは今回の事件の捜査令状を発行した法務官の正当性を疑うものではないと明言した。その代わりにブランド氏とリッチャー氏は、ハモンドさんの死を白人警官が黒人容疑者を射殺した一連の事件と同様に取り扱うのは連邦当局の義務であると話した。

「連邦政府が他の同様の事件の調査に時間を費やしてきたという情報があるので、私たちは連邦政府に本件への介入を要求します」と2人の弁護士は話した。「最近では白人が黒人を銃撃する事件が多く発生していますが、警察の暴力と過剰な武力行使は、人種と関係のない問題です。ハモンド家は、アメリカ司法省が他の異人種間の事件の時と同様に熱意を持ち、徹底的にハモンドさんの死を調査してくれると信じています。丸腰の10代の若者の死は、肌の色にかかわらず、社会にいる私たちの尊厳、人間性を白日の下にさらすのです」

ブランド氏は、「ハモンドさんが白人でなければこの件はもっと注目されている」と、ハモンドさんの事件が全国的に報道されていないことを批判している。ニューヨークタイムズ、CNN、ワシントンポストを含む放送局は、Twitterで巻き起こった怒りの声を受けて今回の話を取り上げた。この怒りの声のほとんどは、「Black Lives Matter (黒人の命だって大切だ)」運動の支援者によるものだった。

公開された動画がないので、ハモンドさんの事件はこの1年間で発生し、注目された警官による殺害事件とは異なると言う人もいる。 さらに、ほとんどの住民が白人のセネカでは、地域社会と警察権力の間に敵対意識を生まれる背景が欠けている。そうした敵対意識は、2014年8月9日に18歳の黒人少年マイケル・ブラウンさんが射殺されて以来、アメリカ中の注目を集めた「人種と警察」の問題に欠かせない背景だ。

サウスカロライナ州では大規模なデモが行われていないが、7日の夜、約50人の人たちがハモンドさんのためにロウソクを灯して徹夜で祈りを捧げた。サウスカロライナ州グリーンビルに住む黒人の非暴力活動家ジャック・ローガンさんは、ハモンドさんのために「正義のための集会」を企画している。この集会は8月15日にセネカのダウンタウンで開催される

Ferguson Protests

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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