イーロン・ マスク氏はどうやら、現実を受け入れたに違いない。
マスク氏は6月1日、テクノロジー関連イベント「コードカンファレンス」で、「2025年までに火星への有人飛行・着陸をする」と発言して注目を集めた。しかし、さらに興味深いのは、「私たちの存在は、壮大なグラフィックを備えた精巧なコンピュータシミュレーションだ」という発言だ。
テクノロジーは、やがて仮想空間と基底現実の境界が失われるほどまで急激に進化していると彼は考えている。「いまが基底現実であるのは、何十億分の1の確率だ」とマスク氏は述べた。
一体どういうことだろうか。
Voxが彼の発言を紹介している。彼が伝えたいのはこういうことらしい。
私たちがシミュレーションの中にいると思わせる最も有効な議論は次のようなものだ。40年前、私たちはPongというゲームを手にした。2つの長方形とドットでできたものだった。当時のゲームとはそんなものだった。
そして40年後のいま、私たちは何百万もの人が同時に遊べる、写真のようにリアルで3D機能を備えたシミュレーションを手にしており、これが年々進化している。そして間もなく仮想空間、拡張空間を手にできる。
こうした革新のスピードを前提とすると、ゲームは現実との区別がつかなくなる。たとえその進化のスピードが現在の千分の一に落ちたとしてもだ。そのときあなたはこう言うだろう。わかった、いまが未来の1万年後のことだと想像してみよう。進化のスケールからすると無に等しい。
だから、私たちがいま明らかに現実と区別のつかないゲームを手にするという軌道の上にいて、このゲームが専用機やパソコンなどでプレイされていて、そのようなコンピュータなりセット・トップ・ボックス(チューナー)がおそらく何十億もあることからすると、私たちが何十億分の1という基底現実にいるという奇妙な状態を理解できるようになるだろう。
一見突拍子もない発言のようだが、マスク氏は今の状況について話しているにすぎない。
現実世界はシミュレーションという考え方は目新しいものではないが、マスク氏は非現実な思考実験をすることが得意な人間だ。もし本当に、私たちがシミュレーションの世界にいるのなら、ドラゴンにも、映画「トゥームレイダー」の主人公ララ・クロフトにもなれる。汗まみれの子どもたちがシミュレーションの世界を操作して、誰かを有名人にすることだってできるかもしれない。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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