アメリカ・ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は10月3日、大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の慈善団体「トランプ財団」が、適切な認可をを受けないまま寄付金集めや勧誘活動をしていたことが州法に違反するとして、州内での活動を差し止める命令を下した。
「トランプ財団は、ただちにニューヨーク州での寄付の勧誘と他の募金活動一切を停止しなければならない」と、ニューヨーク州司法長官事務局慈善団体局のジェームズ・シーン局長は、3日に開示された書簡で処分を説明した。
ニューヨーク州司法長官事務局からトランプ財団に違反通告を9月30日に送付した。追加情報とその書簡はこちら。
トランプ財団は15日以内に慈善事業局に情報提供と過去の募金活動に関する会計報告を行わなければいけない。また、他の慈善団体または第三者が募金活動や関連した活動を代理で行わないことを保証しなければならない。期間内で必要な措置を行わなかった場合、「ニューヨーク州の住民への不正行為が続く」と明記されている。
ハフポストUS版は1月に、トランプ財団の疑惑のもたれている取引について詳細に報道している。トランプ財団は1987年に設立された慈善団体だが、トランプ氏が共和党の大統領候補への出馬を検討し始めた2010年ごろから、保守派の政治団体「シチズンズ・ユナイテッド財団」や「ファミリー・リーダー財団」などに多額の献金をしている。
トランプ財団は2001年から14年にかけて、1200万ドル(約12億円)以上の寄付金を集めたが、トランプ氏本人の献金額はその4分の1以下で、2008年以降はごくわずかの金額にとどまっている。
今回の通告は、トランプ氏にとって新たな打撃となりそうだ。9月26日のテレビ討論会以来、トランプ氏は苦しい立場に追い込まれている。
最近では、元ミス・ユニバースのアリシア・マチャドを「ミス子豚」と罵ったことをクリントン氏に暴露されると「彼女のセックス動画を見ろ」とTwitterで発言し、ヒラリー・クリントン氏が浮気していたという出所不明の噂を流した。9月30日のニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は1990年代に1億ドル近い損失を所得申告しており、それによってトランプ氏は18年間国への所得税を払わずに済んでいたという。
この6月、シュナイダーマン司法長官はトランプ氏のベンチャー事業についても調査し、かつて開催していた「トランプ大学」という不動産セミナーの営業活動は「正真正銘の詐欺行為」に等しいと述べていた。
「詐欺行為だ。これはまさに正真正銘の詐欺行為だ。人々にメルセデスベンツだと言って売りつけ、実はフォルクスワーゲンだったというようなものだ」と、シュナイダーマン長官はMSNBCの報道番組「モーニング・ジョー」でのインタビューで語り、トランプ大学は「大学」と言えるものではないと批判した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、シュナイダーマン長官は民主党に所属していることから、トランプ陣営のジェイソン・ミラー氏は彼を「民主党の回し者だ」と批判している。
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ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた、嘘ばかりつき、極度に外国人を嫌い、人種差別主義者、ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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