ポル・ポト政権の大量虐殺で元幹部2人の終身刑確定 カンボジア国民の4分の1が犠牲になった暗黒時代

1970年代後半のカンボジア旧ポル・ポト政権による大量虐殺を裁く特別法廷の控訴審が11月23日、プノンペンで開かれた。
In this photo released by the Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia, the two most senior surviving members of the Khmer Rouge regime Nuon Chea, left, and Khieu Samphan listen to the verdict which upheld their life sentences in Cambodia's top court, Phnom Penh, Cambodia, Wednesday, Nov. 23, 2016. The Supreme Court Chamber said the 2014 verdict by a U.N. assisted Khmer Rouge tribunal was
In this photo released by the Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia, the two most senior surviving members of the Khmer Rouge regime Nuon Chea, left, and Khieu Samphan listen to the verdict which upheld their life sentences in Cambodia's top court, Phnom Penh, Cambodia, Wednesday, Nov. 23, 2016. The Supreme Court Chamber said the 2014 verdict by a U.N. assisted Khmer Rouge tribunal was
ASSOCIATED PRESS

1970年代後半のカンボジア旧ポル・ポト政権による大量虐殺を裁く特別法廷の控訴審が11月23日、プノンペンで開かれた。特別法廷は、元ポル・ポト派ナンバー2のヌオン・チア元人民代表議会議長(90)とキュー・サムファン元国家幹部会議長(85)の控訴を棄却。両被告の終身刑が確定した。ポル・ポト派の元最高幹部に対する確定判決は初めて。ガーディアンなどが伝えた。

特別法廷は二審制で、ヌオン・チア被告とキュー・サムファン被告は、首都プノンペンから200万人を強制移住させた「人道に対する罪」や大量虐殺、戦争犯罪などの罪で2010年に起訴された。両被告は「指示を出す立場になかった」と一貫して無罪を主張したが、特別法廷は「大規模で重大」とし、一審判決の終身刑を「適当」とした

裁判は現在、審理を迅速に進めるために、起訴された内容ごとに分割し、それぞれに判決を出す形式をとっている。両被告をめぐっては、ベトナム人や少数民族チャム人の虐殺、強制結婚・強姦、内部粛清等の大量虐殺など別の罪状での審理が続いている。

■国民の4分の1が犠牲「ポル・ポト政権」とは?

ポル・ポト元首相

ベトナム戦争終結後の1976年、カンボジアでは政治勢力「クメール・ルージュ」を率いた親中国のポル・ポト氏が首相に就任し、「民主カンプチア」政府が成立した。ポル・ポト政権は、農業を基盤とする閉鎖的な共産主義社会の建設を目指す、極端な政策を強行。都市の住民を農村に強制移住させ、政策に反対する人々を多数処刑した。わずか3年8カ月あまりで、少なくとも当時の国民の4分の1に当たる約170万人が殺害されたという。

その後カンボジアでは反ポル・ポト派の台頭、ベトナムや中国の介入もあり、内戦に拍車がかかった。

ポル・ポト政権による大量虐殺の犠牲者の頭蓋骨

1991年、パリ和平協定でカンボジアの和平が成立し、長きにわたる内戦が終結した。一方でポル・ポト政権期の大量虐殺が問題視され、2006年に国連とカンボジア政府は、当時の政権幹部らの罪を問う特別法廷を合同で設置した。ただカンボジア政府は、フン・セン首相ら元ポル・ポト派が政府内にいることもあり、特別法廷に積極的ではなかった。ポル・ポト元首相も98年に死去している。

政権崩壊から37年が経過する中、ポル・ポト派の元最高幹部に対する確定判決が初めて下され、裁判は大きな節目を迎えた。その一方、関係者の高齢化が進み、裁判を通じた真相究明がどこまで進むのか懸念する声もでている

日本政府は1990年代の国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)時代から、カンボジアの和平・復興を支援している。特別法廷については2006年の裁判開始以来、各国支援の約32%に当たる約8512万ドル(法廷の国際側に約6858万ドル,国内側に約1654万ドル)を拠出する最大の支援国となっている。

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