イギリス政府は2016年12月31日、2017年の叙勲名簿を発表した。今回は女性の受勲者が過半数を占め、男性の受勲人数を上回った。
認知症ケアに貢献したジャーナリストのアンジェラ・リッポン、ファッションへの貢献が評価された「ヴォーグ」誌の編集長アナ・ウィンター、子育てネットワーキングサイト「Mumsnet」共同設立者でCEOのジャスティン・ロバーツ、アクセサリーデザイナーのアニヤ・ハインドマーチなどが、CBE(大英帝国勲章第3位)を受勲した。
元「スパイス・ガールズ」でファッションデザイナーのヴィクトリア・ベッカムが受勲するという噂に対して世間の反応は賛否両論あったが、ファッションと慈善事業への貢献が評価され、OBE(大英帝国勲章第4位)を受勲した。
(左から)アナ・ウィンター、ヴィクトリア・ベッカム、ジェシカ・エニス=ヒル、ローラ・ケニー
2017年の叙勲名簿には603人の成功を収めた女性受勲者が名を連ね、全1197人の受勲者の過半数を占めている。
2016年の女性受勲者は全体の48%で、2015年も50%をわずかに下回っていた。
また、今回の叙勲名簿には過去最多となる黒人、アジア人、少数民族(BAME)のバックグラウンドを持っている人物がいる。また全体の8.5%にあたる受勲者が、自らが何らかの障害を抱えていると考えており(Equality Act 2010)、例年に増してより多様性の高い顔ぶれとなっている。
叙勲名簿には女性プロスポーツ選手も多く登場する。女性で初めてオリンピックで5つの金メダルを獲得したキャサリン・グレインジャーは、ボート競技での活躍と慈善活動への貢献を称えられてデイム(女性でナイトに相当する叙勲)を受勲し、ジェシカ・エニス=ヒルには陸上競技への貢献を称えてDCMG(名誉大英勲章第1位)が、自転車競技選手のローラ・ケニーは夫のジェイソン・ケニーと揃って、CBEが授与された。
夫婦そろっての受章者はこの他にもおり、イギリス初のオリンピック女子ホッケーでの金メダル獲得を称え、ケイト・リチャードソン=ウォルシュにOBE、ヘレン・リチャードソン=ウォルシュにはMBE(大英勲章第5位)が授与された。BBCの番組、ヤング・スポーツの司会者を務めるエリー・ロビンソンも水泳で金メダルを獲得し、MBEを受勲した。
合計では、新年の叙勲リストのうち74%が自らの地域社会の中、もしくは地域社会のための目覚ましい活躍によって受勲しており、この面では女性が男性をリードしているといっていいだろう。
最高齢の受勲者のひとり、94歳のジャネット・ギレスピーは、慈善活動の功績を称えられ受勲した。ギレスピーは1952年にポピーの販売を始め、2015年に引退するまでの60年間にわたり、慈善団体のポピー・スコットランドでボランティアに従事し続けた。
MBEを受勲したスーザン・グリーンは、ロンドンの地域社会と教育に対する働きが評価された。グリーンは慈善団体サマリタンズで30年にわたりボランティア活動を続け、フェルトハム少年院やウォームウッド・スクラブズ刑務所に収容された人々を支援する活動を続けている。
カーコーディ―の「ブリーズ・イージー」の院長を務めるアグネス・ホワイトは、肺疾患を抱える人々に対する貢献が認められMBEを受勲した。彼女は自らの地域医院と英国肺財団のために多額の資金を集め、イギリスの他の地域と同様に子どもを乗せた車内での喫煙を禁止する運動を成功させた。ヴィヴィアン・クーパーは、ディドコット鉄道センターとグレートウエスタン・ソサエティで50年にわたってボランティア活動に携わり、文化遺産や教育の活動に貢献した。
また、この他にも多くの素晴らしい業績を残した女性たちが、最も名誉ある勲章とされるCH(コンパニオンズ・オブ・オーナー勲章)などを受勲している。
特別な教育支援を必要とする子供たちへの慈善活動と教育活動が評価され、Rt Honの称号を持つメアリー・ワーノックがCHを受賞し、また以前にデイムを叙勲したパーカッショ二ストのエヴェリン・グレニーも今回CHを受賞した。そしてインペリアル・カレッジ・ロンドンのMRCクリニカル・サイエンス・センターのディレクターを務めるアマンダ・フィッシャー教授、ケンブリッジ大学のセインズベリー・ラボラトリーのディレクターのオトライン・ライザー教授、そして映画での活躍と慈善活動への取り組みにより、女優のパトリシア・ラウトリッジがデイムを受勲した。
男性では、2016年にウィンブルドンとリオオリンピックで優勝したテニス男子のアンディ・マレーや、元「キンクス」のボーカル、レイ・ディヴィスらが勲章を受けた。
(敬称略)
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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