教育現場における長時間労働の改善を目指す文部科学省は1月6日、教育委員会に「業務改善アドバイザー」を派遣する取り組みを開始すると発表した。2017年4月から開始されるこの取り組みは、申し出のあった教育委員会に専門家を派遣し、教育現場での業務効率化の方針などを指導するというもの。
土日出勤の原因の一つと指摘されている「ブラック部活」などが問題視される中、教員の過重労働は解決されるのか。「業務改善アドバイザー」の取り組み内容について、文科省に電話取材した。
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——「業務改善アドバイザー」による指導内容はどのようなものなのでしょうか?
各教育委員会の希望に応じて、指導内容は異なります。それぞれの希望に応じてどのような業務改善を推進していくか判断をした上で、取り組みを行います。
——教員に対する直接的な指導などは行わないのでしょうか?
基本的に、「業務改善アドバイザー」は教育委員会に対して行われる取り組みです。教育現場における業務改善の方向性を固め、取り組みを推進させることが目的です。場合によっては、学校現場を見させていただということもあると思いますが。
——「業務改善アドバイザー」はどんな基準で選定するのでしょうか。
学校経営やマネジメント、学校事務について知識を持っている専門家。また、すでに各教育委員会の指導に入っており知見を持っている方から選定する予定です。
——教育現場に何よりも必要なものは業務改善のアドバイスではなく、不足している教職員の増員だという声もありますが...。
「業務改善アドバイザー」は、あくまで業務適正化を目的とした取り組みの一環です。それだけで業務環境の改善を目指す訳ではありません。教員の増員など、指導体制の整備を目指す施策とも合わせて、総合的に教員の勤務時間の適正化を図るということに取り組んでおります。
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「業務改善アドバイザー」の派遣以外の取り組みとして、文科省とスポーツ庁は1月6日付で、部活動に「休養日」を適切に設けるよう全国の教育委員会に通知を発出した。練習時間や休養日などを調査した上で運動部活動におけるガイドラインを作成し、部活動の負担軽減を目指す方針だ。
運動部の部活動をめぐっては、全国で2割超の中学校が土日に部活動の休養日を設けていないとスポーツ庁の調査でわかっている。2016年3月には、部活動のため休日返上で働いている若手教員らが2万3522人分の署名を集め、文科省に署名と改善要望書を提出した。
「業務改善アドバイザー」の派遣や部活動の休養日の通知をはじめとする取り組みは、教育現場での「働き方改革」につながるのか。今後の動向が注目される。