アメリカ・シカゴのローンデール地区で2月14日、男が発砲し、車の中で2歳の男の子と26歳の男性が死亡し、妊娠中の女性が負傷した。シカゴ・トリビューンが報じた。負傷した女性は事件発生時、自分たちの様子をFacebookで生中継していた。
動画は女性が男性と車中で歌を歌い体を揺らしている様子から始まる。ラヴォンテイ・ホワイト・ジュニアくん(2)は後部座席に座っていた。
1分半経過した後、銃声が聞こえ女性が叫び声をあげた。
女性が車から走り出て、ある家の中に逃げ込むと画面は見えなくなるが、助けを求めているようだ。彼女が「警察に電話して! 彼が殺された」と叫ぶ様子が聞こえる。車に同乗していた男性のことを指しているとみられる。さらに家の人たちに「お腹に弾が入っている!」と訴えた。
事件の様子を映した生々しい動画のノーカット版はFacebook上から削除されたが、YouTubeでは今でも閲覧可能だ。
【閲覧注意】動画には銃撃の瞬間が含まれます。
シカゴ・トリビューンによると、ラヴォンテイくんと、警察が名前を公開していないもう一人の男性は頭部に銃弾を受けていた。
ラヴォンテイ・ホワイト・ジュニアくんが本日午後、シカゴで意識不明のまま亡くなりました。
シカゴ警察のエディー・T・ジョンソン署長は銃撃事件後の記者会見で、死亡した成人男性はギャングの構成員という警察記録があり、「狙われて襲撃されたようだ」と語った。ラヴォンテイくんは救急隊員たちの救命作業でしばらく意識を回復していたが、その後クック郡病院で死亡が確認された。
20代の女性と胎児は命に別条はないという。
「こうした事件は絶対にどこかで終わらせなければならない」と、ジョンソン署長は会見で語った。「私たちの能力不足で、初犯者と同じように責任能力のある銃の常習犯を逮捕できない。こんなことで私たちの子どもたちが犠牲になってはいけない」
ジョンソン署長はシカゴ警察が容疑者を必ず見つけ出すと語り「有力な手掛かりが複数ある」と、銃撃の様子を捉えた動画を引き合いに出した。
負傷した女性は警察に、自分が男性と子どもと一緒にカーショップ「ACデルコ・カーエレクトロニクス」の裏通りで車を走らせていたところ、1台の車が前をふさぎ、犯人が車を降りて発砲したという。
犯行の現場写真には裏通りのフェンス付近に停まった、銃弾を浴びたダークレッドのオールズモビル・アレーロが写っている。
14日シカゴのローンデール地区で、幼児と男性が銃撃により死亡し女性が負傷した現場を調べる警察の様子。CHICAGO TRIBUNE VIA GETTY IMAGES
ラヴォンティ君は、シカゴで4日連続で発生した銃撃事件で亡くなった3人の子供たちの1人だ。
タキヤ・ホームズさん(11)は11日夕方、商売敵の麻薬密売人を狙った流れ弾を頭部に受け、14日亡くなった。カマリ・ジェントリー=バウワーズさん(12)も11日夜、シカゴの繁華街にいたところを銃で撃たれた。
地元紙「シカゴ・サンタイムズ」によると、カマリさんはクック郡病院で4日間生命維持装置につながれた後、15日に死亡した。
14日シカゴのローンデール地区で、2歳児と20代男性が銃撃により死亡し女性が負傷した事件後、車両を調べる警察の様子。SCOTT OLSON VIA GETTY IMAGES
ワシントンポストによると、シカゴの銃撃事件発生件数は過去20年間で最多となり、2016年の犠牲者数は4000人、死者は762人にのぼる。
シカゴ・サンタイムズによると、2月14日のバレンタインデーだけでシカゴのサウスサイドとウェストサイド地区で12人が銃撃された。その日に5人が死亡し、その中の1人がラヴォンティくんだった。
銃撃事件の前日、シカゴのラーム・エマニュエル市長は新任のジェフ・セッションズ司法長官と会談し、シカゴの暴力事件に対処するため連邦政府の援助を求めた。
「1回の銃撃があるたびに1人犠牲者が生まれるなんて、限度を越えている」と、エマニュエル市長は14日の事件を受けた声明で語った。「無実の子供たちが銃の暴力の犠牲になると 、我々の良心は動揺し、心が引き裂かれる」
エマニュエル市長は14日の銃撃事件を「シカゴの転機としなければならない」と述べ、「有効な銃規制と量刑を法で定める」よう訴え、犯罪者の手に銃が渡らないようにし、「常習犯を表通りから追放しよう」と呼びかけた。
声明文: 我々の大切な子供たちが亡くなった、今回の銃撃事件をシカゴ市の転機としなければならない。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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