世界保健機関(WHO)は5月12日、アフリカ中部コンゴ民主共和国北部バズエレ州の森林地帯でエボラ出血熱が新たに発生し、少なくとも1人が死亡したと発表した。
WHOの広報担当者、クリストファー・リンドメイヤー氏によると、4月22日以降、コンゴ民主共和国で9人がエボラウイルスに感染した疑いがあり、3人が死亡した。 3人の死者のうち、検査の結果、1人からエボラ出血熱の陽性反応が出た。
キンシャサの国立研究所が、コンゴ民主共和国でエボラ出血熱の例を確認。
保健医療施設へのアクセスが不便な辺境のアケチでこの症例が発見されたと、WHOの広報担当者ユージン・カラムビ氏はハフポストUS版に語った。
「病気が大流行しないだろうという点では運がよかったのですが、医療施設から遠く離れているのが問題です」と、カラムビ氏は語った。
カラムビ氏のチームは、大流行を抑制することに専念しており、「監視と予防措置」に取り組んでいる。「疑いのある患者と接触した人は21日間監視する必要がある」と、カラムビ氏は述べた。 地域のボランティアは、適切な衛生管理や食品摂取方法について人々に教育している。
エボラウイルスは、血液、体液、注射器のような器具、そして性行為などの直接接触により広まる。 WHOによると、エボラ出血熱患者の平均致死率は約50%だ。
アメリカ国立アレルギー・感染症研究所長のアントニー・フォウシ博士は、「大流行になるかもしれないし、すぐに流行を食い止めることができるかもしれない」と語った。
「この国はエボラ出血熱に対処した 『豊富な経験』がある。彼らは初心者ではない」と、フォウシ博士は付け加えた。
今はエボラワクチンが存在する。 アメリカ食品医薬品局(FDA)はこのワクチンをまだ承認していないが、コンゴ民主共和国で大規模感染が発生した場合、約30万回の緊急投与ができる可能性がある、とGAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)が12日に明らかにした。
「ワクチンがあるから、必要に応じて追加の対策を取る。これは状況がどう進展するかによります」と、フォウシ博士は強調した。 今回のように流行が継続する時こそ、エボラ出血熱を治療するためにはワクチン開発が欠かせないことがはっきりとする、とフォウシ博士は付け加えた。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、状況を把握していると声明で語った。「CDCは必要に応じて、疫学的または実験的な支援の用意がある。コンゴ民主共和国で働くCDC職員が、現在の状況について地元の保健当局と協力し、サル痘ワクチン試験に取り組んでいる」と、声明で発表した。
2014年10月21日にドイツ赤十字社が開催したエボラ出血熱の治療訓練で、保護服を着たボランティアが「危険度の高い」ゾーンを歩く様子。MICHAELA REHLE / REUTERS
1976年以来、コンゴ民主共和国は合計8回のエボラ出血熱の流行を経験している。2014年8月には66件の感染が発生し、少なくとも49人が死亡した。 WHOは同年11月に大流行の終結を宣言した。
2013〜16年にかけての流行は史上最悪となった。西アフリカではおよそ1万1300人が死亡した。
アメリカの医療従事者2人が、リベリアで患者を治療している間に感染し、重症となった。 ワシントン・ポストによると、アトランタの特別施設に飛行機で運ばれていなければ、この2人は「ほぼ確実に死亡していた」という。
当時政治家ではなかったドナルド・トランプ氏は、感染した場合はアメリカに戻ることを禁止するべきだと訴えた。
「ここから彼らを追い出せ!」と、彼は2014年7月にツイートし、後でこう付け加えた。「人を助けるために遠くへ行くことはすばらしいが、その報いを受けるべきだ!」
ホワイトハウスはハフポストUS版の取材に答えなかった。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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