17世紀の歴史的建造物にスプレーで落書き...? スポーツウェアメーカーの「PUMA(プーマ)」のPR動画に波紋に広がっている。
ことの発端は、PUMAがインドで撮影した靴の新商品を紹介するPR動画。靴の素材のスエードと、ヒンディー語を掛け合わせた「スエードガリー(Suede Gully)」という商品を宣伝しており、同社のホームページでは「インドのストリートカルチャーを代表するようなコラボレーションだ」と紹介している。
動画は、PUMAの靴を履いたインド人のダンサーやラッパーら、ストリートに繰り出して軽快なパフォーマンスを披露する内容だ。その中には、出演者が建物の壁にスプレーで絵を描くストリートアートに興じるシーンも含まれている。
Indian Expressによると、動画が撮影されたのは、インドの中心都市で歴史的な街並みが残るオールドデリー。ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーンが17世紀に建設した歴史的地区も撮影場所に含まれていたようで、スプレーアートによってその外観を損なわれたとして、芸術文化保護団体から批判の声が上がった。
今回問題を提起したスワナ・リドル氏は、「関係機関の許可がなければ、建物の改築やいかなる変化を加えることはできないと法律で明確に定められている」と指摘している。
一方で、動画の撮影を担当したPR会社は、ガーディアンの取材に対して、「動画撮影と壁のペインティングするのに必要な全ての許可は得ている」と断った上で、「ペインティングされた建物のオーナーが歴史的建造物であると認識しておらず、私たちも知らされなかった」と釈明。
壁を元どおりに直すことを約束したという。
保護活動家によると、デリーの歴史的地区・建造物を損傷から守るためのルールがあるが、多くの場合守られていない。