女性が管理職となり職場をまとめる。今はそんなに珍しくないことなのかもしれない。
仕事、家事、子育て。多忙な"女性ボス"たちはどのようにやりくりしているのだろう。
東京・六本木でこのほど開かれた「WOMAN EXPO TOKYO 2017」で、「外資系"女性ボス"がこっそり教える 上手にチームをまとめて実績を出すマル秘ワザ」と題したセッションがあり、約150人が参加した。
デルのコンシューマー&ビジネスマーケティング統括本部で部長をつとめる横塚知子さんと、フェイスブックジャパン広報統括の下村祐貴子さんをゲストに、日経DUALの羽生祥子編集長が聞き手を務めた。
羽生編集長
■全速力で、楽しく。
女性リーダーとして、気をつけていることとは?という問いに、デルの横塚さんは「自分がまず、全速力で走ること」と話した。
「チームの中で誰か頑張っている人がいると、周囲がフォローするようになる。いつも100%頑張れるわけではないけど、とにかく誰よりも元気いっぱい、全速力で走っています」と横塚さん。
また「チームの人たちがどうモチベーションを維持し、みんなで強くなれるか」をいつも考えているという。出社は早く、始業は9時だが朝7時半には到着し、仕事の準備を整えるそうだ。
横塚さん
フェイスブックの下村さんは、「いつも楽しく」をモットーにしつつも、各々のミッションについて、「冷静に客観視し、目的、戦略、ゴールを明確にするよう心がけている」と話す。
下村さん
■声でメール入力?驚きの時短法。
ともに家庭と仕事に全力で取り組む女性ボス。どうやって時間をやりくりしているのだろうか。興味深いワザも披露された。
「メールはボイス入力を多用しています」と下村さん。音声認識のアプリを使い、音声をテキスト化し適宜修正してメールを作成することで、かなりの時短につながる。音声のみで9割以上は正確に入力されるという。「メールを打ち込みながら、音声で別のメールを作成することもあります」と話すと、参加者からは驚きの声が上がった。
家事負担を減らす努力も。下村さん、横塚さん、羽生編集長の3人とも、掃除や洗濯などで外部のサポートを利用しているという。
横塚さんは「全て自分でやるのは不可能です。深夜残業の日もあるので、家事は夫と分担してバランスを取りながらやっています」と語った。下村さんは、日曜日に1週間分の食事を作り置きし、冷凍しているという。
■"スポンサー"を見つける...?
まだまだ男性の多い職場でいかに活躍するか。重要なのは、自分自身の味方や手本となるような人を身近に見つけることだという。
横塚さんはそういう人を「スポンサー」と称し、社内に味方となってくれる存在を見つけることの大切さを語った。「社内で自分のことを気にかけてくれる人や、フィードバックをくださる人が必ずいる。アドバイスを聞き漏らさないようにノートに書いておき、少しずつ直す努力をする」という。
また横塚さんは「ほかの社員が『この人のここがすごい』という人のことは、真似するようにしている」とも。良好な人間関係や見本となるような存在を作ることも、仕事において重要だ。
■落ち込むこともある、でも。
下村さんは「ギルティー(罪の意識)だらけ」と表現した。「あと2、3時間仕事ができていれば、と思ったり、あと2、3時間あれば子供に別の習いごとをさせてあげられたかも、と思ったり。でも続けていけばパスができていく。頑張っていきたい」
横塚さんは「毎日毎日がハッピーというわけじゃないし、落ち込むことも、明日会社に行きたくないということもある」と話した。
そのうえで「立ち止まっても後退しても、私はいいと思う。もう一度前に踏み出す一歩があれば、トータルで前進できる。明日は必ず来るので、一歩前に、ちょっとでもいいので進んでいければ」と同じ働く女性たちにエールを送った。