弘前大・人文社会科学部の30代の男性教員が、学生へのハラスメントを理由に停職3カ月の処分を受けた。処分は12月15日付。弘前大は「教育者としての良識を著しく欠いた行為」があった、と説明した。
具体的には、どんな行為があったのか?
学校側が「明らかに常軌を逸している」と指摘したのが、教員が自分の指導しているゼミ生に、とある文書を突きつけたことだ。
この文書「卒業論文再建計画」には、卒論指導をする条件として、次のような内容が書かれていた。
次の条件を8名のゼミ生全員が完全に受け入れること。
(1)卒業論文の研究・執筆指導に関する指示の完全遂行。
(2)アルバイト契約の解除。契約解除を証するメール等資料の提出。
(3)春合宿では滞在中の睡眠を認めず、徹夜(夕食〜朝食間)で懇親を深める。春合宿を成績評価最終提出日以前に設定する。
(4)OB会への全員参加(終身適用)。やむを得ず参加できない場合には現物出資すること。
極めつけが、(5)「■■(※教員名)の課題解決の実現(実現するまで無期限)」というものだ。
大仰に「課題解決」などと書いてあるが、ようは、この教員の「結婚相手を探せ」という意味だったそうだ。
学校側の事情聴取で、教員は本気ではなかったと釈明したが、実際にアルバイトを辞めた学生もいて、必ずしも冗談とは受け止められていなかったようだ。
懲戒の理由は他にもある。
大学によると、この教員は、特定の女子学生達に対して深夜に及ぶような指導を確認されただけでも4回行っていた。さらに、女子学生2名を教員の自宅に呼んで指導した。
また、調査旅行で特定の女子学生達と自家用車で遠出したり、特定の女子学生達を頻繁に食事に誘ったりするなど、教育指導にあたる教員と学生との立場の違いをわきまえないような行為を行っていたという。
なぜこんなことをしたのか。
8人のゼミ生たちに、文書を突きつけた理由について、この教員は次のように話したという。
「(2016年9月の)合宿で、(学生達がかまってくれなかったため楽しくなくて)惨めな思いをしたから、お前たちにも惨めな思いをさせるためにこの文書を作った」
教員は処分が下された12月15日付けで、依願退職したそうだ。