2018年04月12日 11時57分 JST | 更新 2018年04月12日 12時00分 JST

歯周病は「二重の意味で怖い」。専門医が指摘、結果的に早産になる可能性も

自覚症状がないまま進行、時には重大な病気の一因にもなってしまいかねない

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おいしいごはんを楽しんだり、笑顔を彩ったり―歯は私たちが豊かに暮らしていく上で、なくてはならない大切な体の一部です。

最近では「歯の健康」が肉体的にも大きな影響を及ぼしていると言われており、「歯周病」という病気が大きな注目を集めています。

今回ハフポストでは、歯周病専門医として世界的に活躍されている田中真喜先生に、意外と知られていない歯周病の恐ろしさと、そのケアに有効なアイテムや方法について伺ってみました。

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歯周病専門医の田中真喜先生。医療法人社団誠敬会 理事長。2003年日本歯科大学を卒業後、東京医科歯科大学歯周病学分野に入局し、歯周治療の研鑽を積む。歯周組織再生療法とインプラント治療のスペシャリストとして、数多くの手術を手掛けている。

歯周病って何? 虫歯とはどう違うの?

――歯周病とは、どういう状態のことを指すのでしょうか?

歯周病の細菌によって、「歯槽骨」という歯や歯茎を支えている部分が徐々に溶かされていく病気です。以前は「歯槽のうろう」と言われていたものと全く同じ病気ですね。だんだんと歯槽骨が溶かされていくことで、最初は歯と歯の隙間が大きくなったり、ちょっと歯がぐらついたりというような症状から気になり始め、最後は歯が抜け落ちてしまいます。ここまでの状態に至るまでには、通常の場合、10~15年ほどかかります。

――そんなにですか?かなり時間がかかるのですね。

歯周病はサイレントディジーズと呼ばれる病気の一種で、自覚症状がないまま進行してしまいます。というのは、ちょっと歯茎が腫れたりしても、薬などで一時的に腫れを引かせることもできるので、本人も「たいしたことないかな」と放置してしまうことが多いんですね。しかし、その間にもお口の中でどんどん病気が進行しているので、重症になると歯がボロボロになってしまうんです。

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――高齢の方がかかりやすいというイメージがあるのですが、年齢との関係性はありますか?

年齢が高い人が急になる病気、というわけではありません。先ほど言った通り、長い期間をかけて進行していく病気なので、結果としてご高齢の方に症状が現れることが多いだけで、自覚症状のないまま30代、40代くらいから始まっているケースが多いです。

――それは知りませんでした。歯に関わる病気としては、虫歯が真っ先に思い浮かぶのですが、虫歯になっている人は歯周病にもなりやすいという傾向はあるのでしょうか?

虫歯は「虫歯菌」、歯周病は「歯周病菌」が引き起こす病気なので、それぞれの原因は全く別のところにあります。意外に思われるかもしれませんが、歯周病になりやすい人はむしろ虫歯になりにくく、逆に虫歯になりやすい人は歯周病になりにくいという傾向もあります。

――虫歯と歯周病の関係について、なぜそのような対比の傾向があるのでしょうか?

虫歯菌と歯周病菌、二つの口内菌のバランスに関係があるのですが、そのバランスは個人によって全く違います。

どちらも母親の口内環境に依存するといわれています。口内の菌は、主に唾液を介してうつるのですが、幼少期に一番接する機会が多い人はお母さんですから。なので、今では母親教室などで、食べ物の口移しを控える様に指導していますね。

いろんな病気の原因になる歯周病―早産や不妊の原因にも...

――歯周病は他の病気の原因にもなっているといわれますが、本当ですか?

ありとあらゆる病気に関係があると考えられていて、例えば糖尿病や高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などの一因になるともいわれています。

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一番知っておいていただきたいのは、歯周病は早産や不妊にも関係があるということです。

今は晩婚化が進み出産も高齢化していますよね。先ほども述べた通り、歯周病を発症する人の中には30,40代の方も多いので、結婚後に出産するドンピシャのタイミングで歯周病が進行していくケースが多いのです。

――妊娠されている方に悪影響があるのですか? ちょっと想像がつきづらいのですが、それはなぜでしょう?

歯周病は口の中に潰瘍(膿んでいる部分)をいっぱい作ります。重症な人だと、口の中に手のひらほどの潰瘍部分があるんです。

口の中で炎症が起こると免疫物質である「サイトカイン」というタンパク質が分泌されます。この成分は赤ちゃんが育った時に体から分泌されるものと一緒ですので、「赤ちゃんが育った」と体が誤認して、結果的に早産になってしまうことがあります。

このように歯周病は、歯周病菌そのものが体を攻撃したり、菌によって体のメカニズムが狂ってしまったりと、二重の意味で怖い病気なんです。

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――なんだか怖くなってきました。「お口の健康」が損なわれると本当に色んな悪影響が出てくるんですね。

そうなんです。他にもかみ合わせが悪いと、体のバランスが崩れて、関節痛や肩こりの原因になったりもします。かみ合わせが原因で起こる関節痛は、マッサージに行くなどして一時的に痛みが和らいでも、しばらくしたらまた痛くなってしまいます。首から上がおかしくなると、首から下もおかしくなってしまう。口腔環境や歯を大事にすることはとても重要なんです。

歯周病にならないために、私たちができることは?

――歯周病対策としては、歯ブラシだけで良いのでしょうか?

残念ながら歯ブラシだけだと十分な対策とは言えません。お年を召してからも歯を失うリスクが一番低いのは、日ごろの歯磨きと3~6か月に一度の定期健診に行っている人であるというデータもあります。どうしても歯磨きでは磨ききれない部分がありますし、もし歯周病などにかかってしまっても早期のうちに治療できますからね。

日本の場合、痛くなってから初めて歯医者に通うという方が多いので、これは変えていかなければいけません。症状が出る前の定期健診を心がけてほしいと思います。

――電動歯ブラシやフロスなど、歯磨きをするための様々なアイテムがありますが、何かオススメはありますか?

私はフィリップスの電動歯ブラシ「ソニッケアー」を使っていますね。

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――ソニッケアーのオススメポイントを教えてください。

ソニッケアーは振動に合図があって、次に磨くポイントに移るタイミングを知らせてくれます。また歯茎の状態に合わせて、磨き方のコースも選択できるのも良いですね。私は磨き終わった後のツルツル感が好きで、「クリーンモード」で磨いています。

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――電動歯ブラシを使ったこともがない人も多いと思うのですが、どのように磨くのが正解なのでしょう? なかなか電動歯ブラシの磨き方を教えてもらうことって少ないと思うので。

ソニッケアーに関していえば、ゴシゴシとこするよりも、ただ当てるだけがいいですね。その方が磨き残しが少なくなります。一筆書きの要領で、歯の表裏を満遍なくなぞるのがコツです。

新しいアイテムを取り入れることで、歯磨きの「新習慣」を

――電動歯ブラシと手磨きでは何が違うのでしょう? 個人差はあるかと思いますが、電動に変えたことで、歯周病などが改善した方はいますか?

歯周病の原因には、いくつかタイプかあるのですが、いわゆる「お手入れ不足」で歯周病になる人は、ちゃんとした歯磨き習慣がありません。そういう人には、新しいアイテムと一緒に、新しい歯磨き習慣を根づかせるためにおすすめすることがあります。うちでは患者さんに対して、電動歯ブラシの貸し出しを行なっているんです。その結果、歯周病が改善した患者さんが、私のクリニックにも沢山いらっしゃいます。

――実際に使用感を試せるのですね。ソニッケアーはアプリと連動して、磨き残しなどをチェックできるそうですが、この機能は先生から見てどうですか?

ご自宅での患者さんのケアに対して、共通認識が持てるというところがとてもいいですね。磨き方の問題はないか、歯磨きを習慣化できているかを一緒にチェックできます。ご自宅でのケアを、歯科医が気にかけてくれているということが患者さんにも伝わり、信頼関係と安心感を得られるツールとなっています。ソニッケアーを貸し出した患者さんの中には、気に入って購入したり、家族へのプレゼントとして贈ったりした人もいるみたいです。

自分に合ったアイテムと定期健診で、歯周病を予防しよう

自覚症状がないまま進行し、時には重大な病気の一因にもなってしまいかねない歯周病。私たちができる予防としては、毎日の歯磨き習慣に加えて、定期健診に赴くことが大切です。しかし、分かってはいても日々の忙しさに、丁寧な歯磨きができなくなってしまっている人も多いはず。試しにソニッケアーを使ってみれば、あなたの歯磨き習慣も変わるかもしれません。