ピュリツァー賞、「MeToo」ムーブメント起こしたセクハラ報道が受賞

「全世界的に女性に対する性的虐待について深く考えるきっかけを与えた」
JUNG YEON-JE via Getty Images

アメリカ・コロンビア大学は4月17日(日本時間)、優れたジャーナリズムなどを表彰するピュリツァー賞の2018年度受賞者を発表した。

ジャーナリズム関連の賞で最も栄誉とされる「公益賞」は、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏らのセクハラ疑惑を報道したニューヨーク・タイムズと、雑誌のニューヨーカーが同時受賞した。

ニューヨーク・タイムズ紙がセクハラ疑惑を報じたのは、2017年10月5日。映画「英国王のスピーチ」などを手がけたワインスタイン氏が、数十年にわたって女優やスタッフにセクハラを続けてきたことを、女優のアシュレイ・ジャッドさんが実名で告発した。

ニューヨーカーでは、グウィネス・パルトロウさん、アンジェリーナ・ジョリーさんなどの女優らが被害を告白。50人以上の女優が名乗り出たことから、SNS上で「#MeToo(私も)」のハッシュタグでセクハラを告発するムーブメントが発生した。

ピュリツァー賞のダナ・カネディ事務局長は、受賞理由について次のように述べた

「権力と富を握り、弱みに付け込み性犯罪を犯す人間たちは、長い間被害者たちを抑圧し、野蛮な行為をし、黙らせた。(ニューヨーク・タイムズやニューヨーカーなどの報道機関は)その責任を追求した。その結果、全世界的に女性に対する性的虐待について深く考えるきっかけを与えた」

■ ピュリツァー賞とは?

新聞経営者ジョーセフ=ピュリツァー(Joseph Pulitzer)の遺言により1917年に制定され、毎年、報道・文学・音楽の各部門ですぐれた社会的功績をあげた作品に与えられる。最高の栄誉とされる公益賞の受賞者としては、ウォーターゲート事件を報道したワシントン・ポスト(1973年)などが知られる。

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