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2018年07月06日 15時36分 JST | 更新 2018年07月06日 16時21分 JST

上祐史浩氏は語った。「平成の宗教が、平成の終わりとともに」 オウム真理教事件で7人死刑執行

「麻原(死刑囚)から見ると裏切り者」と語る彼は、いま何を思うのか。

オウム真理教・元代表の麻原彰晃(本名:松本智津夫)死刑囚(63)ら元幹部7人の死刑が執行されたことを受けて、オウム真理教の後継団体「アレフ」から分派した「ひかりの輪」の上祐史浩代表が7月6日、東京都内の司法記者クラブで記者会見を開いた。

かつて幹部の一人だった上祐氏は、自身を「「麻原(死刑囚)から見ると裏切り者」と語る。彼はいま、何を思うのか。

■「奇しくも、節目の日」

kei yoshikawa/HuffPost Japan
記者会見する「ひかりの輪」上祐史浩代表=2018/07/06

この日7月6日は、「ひかりの輪」と被害者団体との間で被害者賠償契約を締結した日(2009年7月6日)から9年目の日だった。

上祐氏は会見の冒頭で「奇しくも、節目の日」と言及。「この日に執行されたことの重みもかみしめ、よりいっそう被害者の皆さまへの被害者賠償、アレフの拡大抑止などの事件再発防止に努めていきたい」と語った。

■「私も教団において、重大な責任を有していた」

時事通信社
全国一斉捜索について記者会見するオウム真理教の上祐史浩外報部長(右)と青山吉伸顧問弁護士(東京・南青山)撮影日:1995年04月14日

上祐氏は、1995年3月の地下鉄サリン事件など一連の事件発生後、「外報部長」「緊急対策本部長」の肩書きで教団のスポークスマンとしてメディアに登場。その弁舌から「ああいえば上祐」と言われた。

当時のことについて問われると、自身の責任について触れ、謝罪の言葉を述べた。

《オウム真理教の犯罪に関しては、その当時、私も教団において、重大な責任を有していました。それに鑑み、この機会をいただきまして、被害者遺族の皆様に深くおわび申し上げたいと思います》

今回の死刑執行については、どう受け止めているのか。

《9年前に被害者団体の皆さんと賠償契約を締結した、まさにその日に執行があった。あらためて、事件の被害者の皆さんの賠償および事件の再発防止の努力につとめなければならないという思いを強くしております》

《偶然の一致でしょうが、そこを踏まえて今後やっていかなければならないと思います》

■「麻原から見ると裏切り者」

時事通信社
拘留尋問を終え、警視庁に戻るオウム真理教の麻原彰晃(本名=松本智津夫)容疑者(東京・霞が関) 撮影日:1995年06月16日

早稲田大学出身の上祐氏。在学中は英語サークルでディベートを鍛えた。1986年夏ごろ、オウム真理教の前身「オウム神仙の会」に入信。宇宙開発事業団(NASDA、現JAXA)に就職するも退職し、教団に出家した。

麻原死刑囚に対して、いま上祐氏は何を思うのか。

《麻原死刑囚に関しては10年以上前にオウム、アレフを脱会しておりますので、いま特段の、かつてのような思いはありません》

《逆にと言いますかそれ以来、麻原を批判してまいりましたのでこの10年間以上前から、そういった意味で一種の緊張があったのは率直なところでありました。今回の執行によって、その微妙な緊張感が少し落ち着くかと、率直なところ思います》

上祐氏が語った「微妙な緊張感」という言葉。その意味について問われると、麻原死刑囚から離反した自身を「裏切り者」と表現した。

《10年以上前から麻原から離反し、麻原を批判してきましたから、麻原その他から見ると裏切り者なわけであります》

《麻原は(拘置所で他人と)接見もしませんし、大丈夫だとは思っても、そういう意味での緊張感はございました。言葉が足りませんけど、ご理解いただきたい、ご推察いただきたいと思います》

言葉を選びながら、慎重に語る上祐氏。「大丈夫だとは思っても、そういう意味での緊張感はございました」。明確には語らなかったが、「ポア」(殺人を意味するオウムの概念)の対象になるのではと感じていたことを匂わせた。

■「アレフはまだ、麻原を絶対とする盲信の中に」

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オウム真理教元代表の松本智津夫死刑囚の死刑執行を受け、教団の後継団体アレフの入る建物の前に集まる警官=6日午前、東京都足立区 撮影日:2018年07月06日

上祐氏は、オウム真理教の土地取得をめぐり1995年10月に逮捕され、懲役3年の実刑を受けた。1999年に出所し、2002年に後継団体「アレフ」の代表に就任したが、2007年に新団体「ひかりの輪」を設立した。

脱会したアレフについて、上祐氏は会見でこう語った。

《残念ながらアレフはまだ、麻原を絶対とする盲信の中にいて、しかも実際の新しい信者の勧誘においては一連の事件が陰謀であると主張して、特に若い信者を中心に勧誘しているということ。この事実は脱会以来、「ひかりの輪」がおこなっていますアレフ信者の脱会支援相談で確認されています》

《改めて、この死刑執行を受け止め、事件関与を認め、反省・謝罪した上で、被害者団体の皆さんと今後こそ、賠償契約を改めて締結し、その実行に入ってもらいたいと思います》

《アレフと被害者団体の皆さんは、賠償支払いの点で、東京地方裁判所で係争状態にあります。その裁判が早期に結審し、賠償が履行されることを望んでいます》

《理想としては裁判でアレフが争うことなく、賠償に応じて欲しいとは思います》

■「平成に生まれた宗教が、平成のうちに...」

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会見場を後にする上祐史浩氏=2018/07/06

会見終了後、上祐氏はハフポストを含めた数人の記者にこう語った。

《事件に関しては一つの終結かもしれないが、オウム問題の清算、賠償としては、これが一つの始まりではないか》

平成初期に起こったオウム真理教の事件は、日本社会に衝撃を与えた。上祐氏は、これまでの30年間を振り返りつつ、こうも語った。

《平成に生まれた1つの宗教が、平成のうちに...。法務省も、そういうつもりなのでしょうが、麻原、オウムというものが、平成の宗教が、平成の終わりとともに...。そんなことになるのかなと》