アート&カルチャー
2018年07月18日 13時39分 JST | 更新 2018年07月18日 13時53分 JST

「本日◼︎◼︎学園に伝達する事項ペーパー」国会議事堂前駅に黒塗り文書の広告。その狙いは?

人気ラッパー、ケンドリック・ラマーの来日に合わせたものですが、どんな関係が…

霞ヶ関駅に展示された広告ポスター

アメリカの人気ラッパー、ケンドリック・ラマーの来日に向けたプロモーション広告が7月13日から、東京メトロ国会議事堂前駅、霞ケ関駅に展示され、ネット上で話題になった。

公文書のような書面の一部が黒く塗りつぶされ、その上には、ラマー4作目のオリジナルアルバムのタイトルでもある「DAMN.」(「クソ」や「ちくしょう」のスラング)との文字が書かれている。

ケンドリック・ラマーの広告ポスター

公文書のあり方をめぐっては、陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報や、森友学園の国有地売却や加計学園の獣医学部新設に関する文書が公開された際、機密部分が「黒塗り」になっていたことが物議を醸した。

ポスターに映された文書は、「本日◼︎◼︎学園に伝達する事項ペーパー」などと書かれており、森友学園や加計学園問題を想起させる内容になっている。日本社会・政治の不透明性への皮肉を込めているようにも捉えられ、Twitter上では、賛否両論さまざまな意見が寄せられた。

霞ケ関駅構内に提示された広告ポスター

この広告を企画したのは、博報堂出身のクリエイティブディレクター、三浦崇宏さんが立ち上げた会社「The Breakthrough Company GO」だ。広告やPR、マーケティング事業を行っている。

三浦さんによると、黒塗りに「DAMN.」の言葉を重ねることで、アメリカ社会の貧困問題や人種差別、社会的マイノリティーに対する無理解などへの抵抗を示してきたラマーの生き様を伝えたかったという。

「ケンドリック・ラマーは、音楽を通して社会的・政治的なメッセージを発信しており、ブラックパワーを象徴する存在でもあります。ヒップホップ歌手として初めてピュリツァー賞(音楽部門)も受賞しました」

Getty Images for Coachella

ラマーが生まれたのは、ロサンゼルスの南に隣接するコンプトンという都市。貧困率が高いことで知られるこの地域出身の彼は、音楽を通して内面を掘り下げ、複雑で生々しい感情や葛藤を表現し続けてきた。

アフリカ系アメリカ人や若者の間ではカリスマ的な存在となっており、白人警官による黒人射殺事件の無罪判決をきっかけに起きた社会運動「黒人の命も大切だ(Black Lives Matter)」では、ラマーの楽曲「Alright」がアンセムにもなった。

ピューリツァ賞委員会はラマーの『DAMN.』について、「現代のアフリカ系アメリカ人の複雑な人生を捉えている」と評価している

「日本社会にある抑圧を表しているとも言える『黒塗り文書』の黒塗りされた部分に、『DAMN.』という言葉をかぶせることで、抑圧されているものに対して抵抗し、声をあげるというケンドリック・ラマーの生き方や姿勢をダイレクトに表現したかった」

「ブラックパワーを代表する人物が今、存在していて、そしてもうすぐ来日することをたくさんの人に認知してほしいと思っています」

三浦さんはそう話す。ラマーは7月27日〜29日まで開催されるロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL '18」の2日目のヘッドライナーを務める。挑戦的なメッセージを帯びたこの広告だが、見た人に衝撃を与え、広く話題になった。この広告ポスターは、7月19日(木)まで展示される予定だ。