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2018年08月23日 18時07分 JST | 更新 2018年08月23日 18時07分 JST

サマータイムが導入されたら、世の中はこう変わる(各国の研究結果)

強盗の発生率が下がる一方で、心臓発作のリスクが高まるかも

Brian Snyder / Reuters
※写真はイメージです。

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府・与党がサマータイムの導入案を検討している。サマータイムは、日中の時間を有効に使うため、標準時間よりも時計を進める制度。大会組織委は猛暑対策として、1〜2時間を早めることを政府に提案している。

サマータイムが導入されると、私たちの生活がどう変わり、どんな影響が出るのだろうか。すでに導入している海外の事例や研究結果などを踏まえて、起きうる5つの変化を紹介する。

直接な影響(夕方の日照時間が長くなることで起きる影響)

1.子供が外で遊ぶ時間が長くなる

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「ジャーナル・オブ・フィジカルアクティビティ・アンド・ヘルス」に寄稿された2012年のイギリスの研究によると、日中の日照時間が長くなることに伴い、子どもが遊びやスポーツ、お出掛けに費やす時間が長くなるという。

調査では、8〜11歳の小学生325人が加速度計を装着。日記もつけてもらい、外での遊び、スポーツ、出かけた回数などを集計した。

その結果、体を動かす回数や運動量は、日照時間が長い日(14時間)に増えた。一方、日照時間が短い日(9.5時間)と通常の日(10.2時間〜12.6時間)とを比べると、運動量に差がなかった。運動量への影響は特に、午後5時〜8時の時間帯に顕著に表れていた。

これを踏まえて研究は、夕方の日照時間が長くなることは、子どもの運動の増える一因となっていると結論づけている。

国立天文台によると、オリンピック開会式の日に当たる7月24日の2018年日の入り時間は午後6時52時ごろ。時計をずらすのが1時間なら午後8時、2時間なら午後9時ごろまで日が出ている見通しで、日本でも同様の影響が出ることが想定される。

2.強盗の発生率が下がる

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学術誌「ザ・レビュー・オブ・エコノミクス・アンド・スタティスティックス」に寄稿された2015年の論文によると、サマータイムが始まると、1日の強盗発生率が平均7%下がるという。サマータイムの影響で日没が伸びた時間帯に限定すると、減少率は27%にもなった。

調査は、アメリカがサマータイムを4週間延長した2007年のデータを基にしている。論文の著書は、減少の理由について、犯罪者が顔や犯行が発覚しやすい明るい時間帯を避けるためだと指摘している。

一方で、普段よりも暗い早朝の強盗発生率は増えていなかったという。

副次的な影響(時間を変えるという行為などによって起きる影響)

3.交通事故の件数が増える

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「ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で1996年に発表された調査によると、サマータイムの開始と終了の直後でそれぞれ、交通事故の件数が大幅に増減するという。

調査はカナダ9州を対象に、1991年のサマータイムの開始直前、直後、1週間後の月曜日の事故発生件数を比較した。サマータイムの終了時(1992年)も、同様の方法で比較した。

その結果、サマータイムの開始直後の月曜日は、直前に比べて事故件数が8%程度増えていた。逆に終了直後の月曜日は、事故件数が同じ程度減っていたという。

サマータイムの時間変更による睡眠時間への影響が、原因とみられている。サマータイムの開始時は、時計の針を1時間早めるため、睡眠に充てられる時間が短くなる。一方で、終了時は時間が1時間戻るため、睡眠時間が増える傾向がある。

もし、日本版サマータイムで時間帯を2時間変える案が採用された場合、睡眠時間への影響はより大きくなると予想され、交通事故件数の増減の幅が大きくなる可能性もある。

4.テストの点数が下がる

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「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス、サイコロジー・アンド・エコノミクス」に寄稿された研究によると、アメリカで全国学力テスト(SAT)の点数がさがる結果が出たという。

インディアナ州では2010年まで、州内の各地域がサマータイムを実施するかどうかを選択できた。過去10年間のSATテストのスコアを調べたところ、サマータイムが実施した地域の点数が、そうでない地域と比べて約16点(2%)低かったという

5.心臓発作のリスクが高まる

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心臓発作のイメージ写真

アラバマ・バーミンガム大学の研究者の2012年に発表したレポートによると、サマータイムの開始・終了の前後で、心臓発作が起きるリスクが増減するという。

サマータイムの開始直後の月・火曜日は、心臓発作が起きるリスクが10%高まり、反対にサマータイムが終わるとリスクが10%下がると指摘している。

レポートは、明確な原因は分かっていないとしているが、睡眠時間の短縮、身体の概日リズム、免疫反応などが作用していると指摘している。