プロ野球・広島東洋カープの新井貴浩選手(41)が、今シーズン限りで現役を引退する。9月5日、広島市のマツダスタジアム内で開いた記者会見で表明した。
広島が25年ぶりのリーグ優勝を飾った2016年には、通算2000安打を達成、リーグMVPとなる活躍を見せていた。しかし今季はけがに悩まされ、49試合で打率2割2分2厘と、以前よりも成績が振るわなかった。
大歓声をくれるファンを「喜ばせてあげることができていない」
2008~2014年は阪神タイガースでプレーしたが、2015年に古巣に復帰。2016年、2017年のリーグ優勝に貢献した。
プロ入団20年目で、引退の決断をした理由を新井選手は「若手が力をつけているカープの今後を考え、今年が良いのではないかと考えた」と説明。人気選手として惜しまれながらも、バットを置くことになった。
現在、球団初のセ・リーグ3連覇を目指し、首位を走っている広島。ファンの大きな期待を背負う中で「大歓声をもらえる中で、(ファンを)喜ばせてあげることができていない」と話した。
けがに泣いても、猛打は健在
今シーズンの始まりは、左ふくらはぎのけがで開幕1軍を逃したが、5月初旬に1軍に復帰。
直後の5月23日には、読売ジャイアンツ戦で初回に1号3ランを放ち、球団最年長ホームラン記録を更新した。20年連続のホームランで打力を見せつけた。
8月29日にも、同じくジャイアンツ戦で逆転ホームランを含む3安打で猛打賞となり、こちらも球団最年長記録を塗り替えた。
カープ愛、初めての出戻り選手
2007年には、FA(フリーエージェント)権を使って阪神へ移籍することになった。広島を離れることについて、当時会見で「カープのユニホームをもう着られないのがさびしい」「つらいです。カープが好きだから...」と話し、 報道陣を前に涙を見せた。
この退団から7年後には、故郷の広島に戻ってきた。在籍していた阪神が提示する7000万円よりも安い2000万円での契約だったが、広島復帰を即断したという。国内の他球団へFA権を使って出ていった選手で、広島へ戻ってきた初めての選手になった。
復帰後は、2016年に19本のホームランを放ち、セ・リーグMVPに輝く。39歳での受賞はリーグ最年長記録だった。
今シーズンは、7月以降に打席数が減り、9月5日現在までにホームランは4本と低調気味だが、首位を走る広島は優勝マジックナンバー12を点灯させた。チームの精神的支柱として、球団初のリーグ3連覇に向けて最後の力を振り絞る。