アート&カルチャー
2018年11月28日 11時48分 JST | 更新 2018年11月28日 19時20分 JST

男の子は「美少女戦士」になれないって誰か決めたの? りゅうちぇるはこうして壁を乗りこえていく

りゅうちぇるが登場するCMが、話題になっている。

HuffPost Japan
りゅうちぇるさん

「セーラームーンは女のもの。モンストは男のもの。そんなのもう古いでしょ?」
「変身願望に、男も女もないよ」
「自分が好きなら、それでいい」
「壁なんて壊して、みんなで熱くなろうよ」

メイプル超合金のカズレーザーさんと安藤なつさん、りゅうちぇるさん、多屋来夢さんが「セーラームーン」の美少女戦士に扮するテレビCMが、話題を呼んでいる。

テーマは、「楽しいことも、ジェンダーフリーに」。武内直子さん原作のアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』と、スマートフォン用ゲーム「モンスターストライク」のコラボに連動して公開されたCMだ。

りゅうちぇるさんはこの企画で、セーラーマーキュリーに「変身」した。

「男らしさ」や「女らしさ」の固定概念を乗りこえる存在でもあるりゅうちぇるさんは、このCMにどんな印象を持ったのか? 単独インタビューで聞いた。

Junichi Shibuya
りゅうちぇるさん

かわいくてキレイで、かっこよく戦うセーラームーン

1990年代に『なかよし』で連載された『美少女戦士セーラームーン』は、「戦う女の子たち」を描いた少女漫画の金字塔だ。

等身大の女の子たちが、悪と立ち向かっていく。

その後の日本のマンガ・アニメ界に大きな影響を与えたこの作品は、「多様な時代のジェンダー観などを採り入れている」とも評される。「女の子らしさ」も「男の子らしさ」も備えているようにみえるキャラクターが出てくるからだ。

「僕はセーラームーン世代ではないんですけど、小学校の時にやっていた実写版ドラマとかアニメを見たことはありました。一人ひとりの個性が立っていて、すごくかわいい部分もあるし、キレイな部分もある。それでいて、かっこよく戦う。

その凛とした姿って、女性にすごく勇気を与えたし、男性も憧れたと思います。そういうところがすごく好きでした」

Junichi Shibuya

りゅうちぇるさんはそう話す。

CMでは、「変身願望に男も女もないよ」とりゅうちぇるさんらしいメッセージを発信した。普段から、SNSや音楽活動を通して自分らしくいることの大切さを発信しつづけているりゅうちぇるさんは、予想以上の反響が返ってきた、と振り返る。

「撮影日に準備しているときは、かわいい衣装とメイクで、ルンルンした気持ちで挑んだんですけど...いざ撮影が始まると、セリフがすごくかっこよくて、素敵で。『なんていいセリフなんだろう、僕も同じことを思ってるな』ってすごく感じたので、気持ちを込めて撮影に挑めました。

衣装はミニスカートを着てロングブーツを履いて、いわゆる『女の子』に人気のタイプのファッションだったんですけど...服やファッションって自由だし、誰がどんな服を着てもいいし、楽しむもの。服は自分を表現するものだから、全然違和感なんてなかったし、すごく楽しく撮影しました」

僕の本気女装😏💙⭐️🎶💕

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「男らしさ」「女らしさ」のプレッシャーは根強い

日本でも、性やジェンダーの多様性が尊重される動きは進んでいるが、「男らしさ」や「女らしさ」を求めるプレッシャーはまだまだ根強い。

そんな現状の中で、ジェンダーフリーをテーマにしたCMが全国放送で「当たり前」のように流れることに、りゅうちぇるさんは「世の中が変わっていく流れの大きな一歩」だと思ったという。

「僕は、ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX Professional Makeup)というコスメブランドがすごく好きなんですけど、ニックスは当たり前のように男性がメイクした場合のビフォーアフターの写真を使っているんです。

海外とかだと、むしろ、『なんで男性のチュートリアルはないの!?』って怒る人たちがいるくらいなんですよね。だから、日本はまだそこまでいっていないのかな、と思ったりします。

化粧品売り場とかメイクショップって、男の人が入れないわけじゃないのに、なんで女の人の写真ばっかりなんだろう?って不思議に思うんです。男の人でメイクする人もいるのに、って。だから、まだそこまではいってないんです」

Junichi Shibuya

りゅうちぇるさんは、愛妻・ぺこさんとともに長男リンクくんの育児に奮闘中だ。

家事や育児に関する価値観は、身近な「ジェンダー問題」の一つでもある。日本には「男性は仕事、女性は家事・育児」という考えが根強くあるが、りゅうちぇるさん・ぺこさん夫婦は、その時々で「やれる人がやる」ようにしているという。

「それこそ、『父親だから』『母親だから』って性別で家事とか育児を分けるのではなくて、『ぺこりんとりゅうちぇるだから』で決めるようにしています。お互い得意なこと、不得意なことがあるし、疲れているときは助け合うようにする。

だって、おっぱいをあげること以外だったら、僕は全部できますよね。これは、僕だけじゃなくてどの夫婦でも同じ。育児の中で、『男性』か『女性』か、性別によって決まってしまうことって、『おっぱいをあげること』だけだと僕は思います」

だから、お互いがストレスをためずに助け合えるよう、夫婦の会話を大事にして、思いやることを忘れないようにするという。

Junichi Shibuya

どういう風に生きたらいいか。これは自分で学んでいくこと

りゅうちぇるさんとぺこさんは、「個性派」の代表格的な存在として、2015年ごろからテレビ出演を機に人気を博した。

「まわりとは違う」スタイルを貫くことの苦悩は、早い段階から吐露している。2016年には、テレビ番組で「化粧してる男ってありえない」「子どもが生まれてもそういうパパでいるの?」と先輩モデルから咎められるドッキリ企画で子育ての持論を語り、大きな反響を呼んだことがある。

その時りゅうちぇるさんは、「絶対かわいいパパでいます。人に何を言われても、負けないで自分をしっかり持つ姿を見せます」と強い信念を語っていた。

それから2年が経ち、愛息のリンクくんを育てるりゅうちぇるさんは、いまも「自分が生きている姿を見せたい。背中を見せることしかできないですよね」と話す。

「僕がいま発信していることを伝えたとしても、正直、自分の息子は実際に経験していないから、伝わらないと思うんです。だから、本とか作品とかを無理やり見させたり、『こういう風に生きた方がいいよ』って押し付けることはしたくない。何も言わないようにします」

「もちろん、楽しい時間は共有したいし、ダメなことをしたらちゃんと叱りますけど...。こういうことをしたら人を傷つけちゃうんだよ、とか、人としてのマナーはちゃんと伝えていかないといけないと思います。

でも、何が美しいかとか、どういう生き方がいいのかっていうのは、自分で学ぶものなので。息子がどんなものを好きになるかもわからないじゃないですか。僕と全然違うかもしれないし、いま素敵だねって言われていることや、いまの価値観も変わっていくかもしれない」

「だから、自分の人生を生きて、いろんな人と出会って学んで、自分を見つけていってほしいなと思います」。りゅうちぇるさんは微笑みながら、そう話す。

自分らしくいられる居場所を自分の力で見つけ出したりゅうちぇるさんは、決して人の生き方を否定しないし、考えを押し付けない。だからこそ、多くの人が彼のメッセージに勇気づけられ、共感を呼ぶのだろう。

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モンスト×アニメ『美少女戦士セーラームーン Crystal』コラボは12/2(日)まで、期間限定で実施予定。

Junichi Shibuya