ウォルマート、子どものための「おもちゃレビュー」サイトを公開

動画でホスト役を務めている子供のコメントを聞くことができる。
ウォルマート・トイ・ラボ
ウォルマート・トイ・ラボ
DIGIDAY

ウォルマート(Walmart)が、幼いカスタマーを取り込もうと、クリエイティブな取り組みをはじめている。

同社は11月16日(米国時間)、「ウォルマート・トイ・ラボ(Walmart Toy Lab)」というウェブサイトを立ち上げた。子供たちに商品のデモを見てもらい、ホリデーシーズンに買ってほしい商品のリストに加えてもらうためだ。このサイトは、マーケティングとデータ収集の両方の役割を担っている。このサイトを通じて、「アメリカズ・ベスト・トイ・ストア(America's Best Toy Store)」という新たなブランド名で展開している玩具売り場の存在を知らせるとともに、子供たちのもっとも気に入った商品を教えてもらおうとしているのだ。

玩具のカタログの進化版

トイ・ラボのサイトでは、玩具についていろいろと知ったり、どの玩具が気に入ったかを伝えたりできるようになっている。具体的には、子供たちが玩具で遊んでいる動画を、ズームアップしたりアングルを変えたりしながら見られるようになっているのだ。また、動画でホスト役を務めている子供のコメントを聞くことができる。動画が終わりに近づくと、ホリデーシーズンに買ってほしい商品のリストに追加すべき玩具と、そうでない玩具を選ぶよう求められる。ウォルマートでは、このサイトを2018年のホリデーシーズンが終わるまで公開する予定だ。数カ月前に行ったテストでは、トイ・ラボで取り上げている20種類の玩具すべてが、好意的な評価を受けたという。これらの製品には、ウォルマートでしか売っていないものも含まれる。

ウォルマートはこのサイトを利用することで、どの商品がもっとも人気があるのか、またどの商品がもっとも多くのインタラクションを獲得したのかを知ることができる。

「これは、玩具のカタログをもっと楽しく、魅力的で、インタラクティブなものにするための手段であり、(中略)どのようなタイプの玩具が(顧客の)買い物リストに加えられるのかを知ることができる」と、ウォルマートの広報担当者、タラ・ハウス氏は話す。「何がもっとも注目を集めるのか、どのようなもの(コンテンツ)が子供たちに一番楽しんでもらえるのか、最終的に何が買い物リストに追加されるのかなど、興味深い情報が得られるだろう」。

新しい玩具売り場と連動

ウォルマートは8月、自社の玩具売り場を「アメリカズ・ベスト・トイ・ストア」というブランド名で拡張し、同社が独占販売する大手ブランド製品を追加した。また、これに合わせて、店舗でイベントや商品デモを実施したり、YouTubeで「トイ・インフルエンサー」が玩具についてレビューするマーケティング活動をはじめたりしている。こうした取り組み(新商品の販売、イベントの展開、玩具関連コンテンツの公開)は、今年のホリデーシーズンにおいてターゲット(Target)やコールズ(Kohl's)などの小売各社と市場シェアを競い合うなかで開始されたものだ。

「この(取り組みの)目的は、フィードバックの獲得と話題作りにある」と、フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のアナリスト、サチャリタ・コダーリ氏はいう。「おそらく、一部の取り組みは、YouTubeの製品レビュー動画並みに人々を惹き付けるだろう」。

ウォルマートは、YouTubeの製品レビュー動画が特に子供たちのあいだで人気を集めている状況を利用し、トイ・ラボを宣伝するプレロール広告やミッドロール広告をYouTubeで配信している。また、さまざまな層の顧客が商品をどれくらい気に入ってくれそうかテストする場としてトイ・ラボを活用している。このような情報は、将来の在庫ニーズを予測するのに役立つ可能性があるのだ。

「ウォルマートはこのサイトから多くの情報を得られるはずだ。たとえば、どの玩具がこのサイトでもっとも楽しまれているか、どのようなタイプのインタラクションがもっとも多くのコンバージョンを獲得しているか、動画が(ほかの)インタラクションより成果を上げているかといった情報だ」と、データ分析企業のヤグアーラ(Yaguara)でCEOを務めるジョナサン・スモーリー氏は述べている。「このようなデータを収集すれば、ウォルマートはこうした取り組みがさまざまな玩具や新しい売り場にもたらす成果を予測できるようになるだろう」。

ジョイントベンチャーも設立

ウォルマートは、トイ・ラボのサイトを構築するにあたって、テクノロジー企業のイコ(Eko)とパートナーを組んだ。また、これに先立つ10月には、イコとともにジョイントベンチャーを立ち上げ、動画を含むインタラクティブコンテンツの開発や消費者への製品マーケティングをはじめている。さらにウォルマートは、2億5000万ドル(約283億円)を出資したと報じられるこのジョイントベンチャーで、インタラクティブな玩具カタログだけでなく、「いまあるようなシンプルなパーソナライゼーション機能を超える」体験をもたらす料理番組やデジタルコンテンツを制作すると声明のなかで述べている。

イコの最高クリエイティブ責任者アーロン・ベナリ氏によれば、彼らの狙いは玩具カタログのイメージを再構築することだという。動きのない写真に代わってライブアクション動画やインタラクティブな機能を利用することで、顧客の関心を引き寄せたいと、同氏は考えている。

「我々は(カタログを)その概念から検討し直しているところだ」と、ベナリ氏はいう。「重要なのは、人々が動画コンテンツと双方向のコミュニケーションができるようにすること」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)

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