Maroon 5のスーパーボウル・ハーフタイムショーが「不評」だった理由

毎年恒例のスーパーボウル・ハーフタイムショー。2019年は、NFL界を揺らす人種差別問題に注目が集まった。

アメリカ中が熱狂する、アメフトの頂上決定戦「スーパーボウル」が、ジョージア州アトランタで2月3日夜(現地時間)に開催された。

2019年に対戦したのは、若き力に溢れるロサンゼルス・ラムズと強豪イングランド・ペイトリオッツ。結果はペイトリオッツが13-3でラムズを下し、優勝を手にした。

トップチームが激突する試合はもちろん、もう1つ見逃せないのが、世界的なスターのパフォーマンスが毎年話題になるハーフタイムショーだ。

今年はMaroon 5(マルーン5)が登場し、人気ラッパーのトラヴィス・スコットとBig Boiと共に、M字型のステージから会場を盛り上げた。

ハーフタイムショーで歌うMaroon 5のレヴィーン
ハーフタイムショーで歌うMaroon 5のレヴィーン
Maddie Meyer via Getty Images
Maroon 5のレヴィーン、Big BoiとSleepy Brown
Maroon 5のレヴィーン、Big BoiとSleepy Brown
Jeff Kravitz via Getty Images

パフォーマンスは2002年の『Harder to Breathe』から始まり、『This Love』や『Girl Like You』など、数々のヒット曲を披露。途中、人気アニメ『スポンジボブ・スクエアパンツ』の映像やゴスペルのコーラスも加わって盛り上げた。

ショーの後半では、ボーカルのアダム・レヴィーンは上半身裸になり、スタジアムからは花火が上がった。そして、ショーに参加した他のアーティストらとハグをした。

ヒット曲満載のパフォーマンスだったが、内容はサプライズも少なく、地味で退屈だったと言っていいだろう。Twitterでは、「過去最低のハーフタイムショー」「早く後半始まってほしい」などの声が集まり、ショーが不評だったことが伺える。

スタジアムからの花火 ハーフタイムショー
スタジアムからの花火 ハーフタイムショー
Logan Riely via Getty Images

Maroon 5やその他のアーティストは、今回のハーフタイムショーでのパフォーマンス参加に対し、大会前から多くの批判を受けていた。

背景は2016年に遡る。当時サンフランシスコ・49ersに所属していたコリン・キャパニック選手が、黒人や有色人種に対する差別的な事件がアメリカで相次いでいることに抗議する狙いで、国歌斉唱中の起立を拒否した。その後、彼に触発されたほかの選手たちも次々と同調、NFL全体に拡大した。この動きをトランプ大統領はTwitterで批判し、大きな社会問題に発展した。

NFLは2018年5月、その年のシーズンから新ルールを導入することを決め、選手らに起立を義務づけるとともに違反すれば罰金を科すことにした。

この動きに「NFLが、黒人や有色人種に対する差別に抗議する選手たちを黙殺しようとしている」という批判が集まった。

実際、リアーナカーディBなどは、このことを理由にショーへの参加を辞退した。

Maroon 5のボーカル、アダム・レヴィーンは、「誰よりも今回の参加について考えた」とアメリカのエンターテイメントニュース番組に話した。

「僕よりこの決断について考慮と愛情を注いだ人はいないだろう... 沢山の人にも相談したが、一番重要なのは自分の声。自分がどう感じるか、で決断したんだ」

「スーパーボウルでのパフォーマンスは、いつも議論がつきものさ」と、今回の参加に対する批判を振り払った。

「今までのスーパーボウルのハーフタイムショーを振り返ると、みんな、どこか悪く言いたくなるんだ」とレヴィーンは言った。「多少の議論に耐えられないと、僕の仕事はやっていられないよ。早く次に進んで、僕らの音楽を通して会話をしたい」。

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集、加筆しました。

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