前回(リンク)までは、開校準備やその間にあった問題などについてお伝えしてきました。今回は、私たちの生徒募集での失敗やその後の問題について書いていきます。
これまで私たちの学校の生徒について一切書いてこなかったのですが、今回はそれについて。
私たちが学校を始めた目的のひとつは、勉強をしたくても近くに学校がなかったり、貧しくて仕事をしなければいけなかったりする子どもたちに教育の機会を与えることです。
現在は、日本でいう小学校から高校卒業までの小中高一貫校を運営しています。ただ、以前にも書きました(リンク)が、初年度は土地・建設問題によって3教室のみの仮校舎を使用し、日本の中学1年生にあたる一学年のみでスタートすることになりました。
その1期生はというと、その地域には有料の公立校や私立校もありますが、そういったところに通うことが困難な子どもたちが私たちのターゲットです。幸い、そういった生徒は現地NGOパートナーがその地域に小さなフリースクールの小学校を8校運営していたため、その子どもと保護者に呼びかけることにしました。
ただ、小学校8校のその年の卒業生は約230名、私たちが受け入れることができる生徒は教室の関係から120名と上限があったため、生徒の通える距離などを考慮し、どうやって選考しようかと考えていました。
当時は多くの入学希望者が殺到すると予想していたため、選考のことだけを考えていました。その余裕がいけなかったのかもしれません。各小学校で私たちの学校説明会を実施し生徒募集を促したのですが、フタを開けてみると、入学希望者は70名のみ......!
「できるだけ多くの生徒に教育機会を与えたい」が目的だったため、この結果は不甲斐なかったです。現地スタッフは「ベンガル人(バングラデシュ人)は新しいことについては様子を見る傾向がある。今回は新しい学校、しかも中学1年生のみの学校だから不安をもった保護者もいたんだよ」と言いますが、それだけが要因ではないと思っています。やれることはまだあったはずなのにも関わらず、変な余裕が災いし、このような結果になってしまったと、深く反省しました。この失敗から学んだことも多く、今でもこの経験を頭の隅において仕事をしています。
入学生徒(70名)が決まり、新年度の学校が始まる前に学校オリエンテーションとして保護者会を実施しました。タイムスケジュールなど他校とは違うことが多々あるので、そういった説明が必要だったのです。
さて、新年度1月から学校がスタートです。
生徒たちの初登校日。私も現地教員も少し緊張しながらもこれから始まる学校に、気持ちは高揚していましたね。
登校時間8:20。担任の先生が教室に出欠を取りに行き、その後アセンブリー(全校集会)を校舎前広場で行います。しかし、アセンブリーの時間になり私が外に出ると、広場にはたったの10名しか生徒が来ていなかったのです!
私たち日本人スタッフはこの状況を全く理解することができず、予想外すぎて、みんな数秒立ち尽くしていました(苦笑)。現地教員と話をするものの、彼らも何が起こっているのか全く分かっておらず......。
なんとか開校までこぎつけ、これからようやくスタート!! という矢先に、生徒が学校に来ていないという問題に直面。
さて、この後どうなったのでしょうか!?
次回、この続きをお伝えします。
Ambassadorのプロフィール
K.Furusawa
宮城県仙台市出身。大学在学中はプロキックボクサーとして活躍。卒業後は日本の私学教員をやりながらタイ、カンボジア、ネパール、ミャンマーなどアジアの教育支援に携わる。その後、とある公益財団法人の仕事としてバングラデシュでモデル校となる学校建設・運営を任される。現在は生徒数約800名の学校をバングラデシュで運営中。