嫁いで実感!これぞバングラデシュの結婚式

バングラデシュでは日本よりも「結婚はマストである」という概念が強いです。

こんにちは、杉山弥央(みお)です。

前回の記事で7月1日のテロ事件について書かせていただきましたが、あの事件以来、街の警備体制や人々の緊張感がガラッと変わり、息苦しい毎日が続いています。

私自身、外出先は基本的にオフィスのみに留め、日が暮れた後は移動手段も必ずタクシーで帰宅するように。よく使っていたCNG(天然ガスで動く三輪車)はセキュリティに不安があるため使用しなくなりました。

服装もなるべく目立たないように、ヒジャブと呼ばれるムスリム女性が頭に巻くスカーフを使用するようになったり、今までより更に素肌が隠れるような服装に。

外出しない生活はあまりにも息が詰まるので、たまにカフェに行きますが、外国人向けではなく主にローカルの人が利用するようなお店を選び、滞在時間もなるべく短く、そして入店時は避難経路の確認を忘れない、という習慣が身につくようになりました。

何も心配することなく外を出歩ける、ということは当たり前ではなく「平和な世の中の象徴だったんだなぁ」と心から感じる日々です。

暗い書き出しになってしまいましたが、一転、今回の記事は、バングラデシュの結婚文化について、自分の実体験も交えてご紹介します!

女性軽視?イスラム式の婚姻手続き

私事ですが、今年2月にバングラデシュの方と結婚し、6月にダッカで結婚式を挙げました。

バングラデシュで結婚する際の方法のひとつに、イスラム法の下で手続きをする習わしがあります。

その際、「ニカナマ」と呼ばれる婚姻証明書を提出するのですが、手続きをしてくれる人が自分たちの家に来てて、家族や親戚の立ち合いのもと、儀式のように手続きをしてくれます。

書類にサインをして、ベンガル語で誓いの言葉を復唱させられ(私はもちろんまったく意味が分からないまま復唱しました)、親戚が用意してくれた指輪をもらって(形式的なものだったらしく、後日回収されました 笑)、手続き人が祈りの言葉を唱えてくれて、みんなでご飯を食べて終了、という流れです。

ニカナマの内容を一度じっくり翻訳してみたのですが、中身は結構ユニークです。

例えば、ダンモホルと呼ばれる、新郎から新婦へ支払われるお祝い金のようなものがあり、その金額と支払済みかどうかを記載する項目があったり、新郎は新婦に離婚協議に関しての権力を与えているかどうか、結婚により新郎の権利を脅かすような事柄はないかなど、男尊女卑とも思える項目があったり。女性の立場がまだまだ弱いことが感じられました。

ちなみに私たちのニカナマには、ダンモホルは500,000バングラデシュタカ(当時のレートで日本円73万円ほど)支払済みとの記載があったのですが、まだ夫から何ももらっていません(笑)。 記載情報の真偽までは確認しないところが、何ともバングラデシュらしいなと思います。

なんともゆる〜い雰囲気!楽しかった結婚式

バングラデシュ人は基本的にお祭り事が大好き。

もともと娯楽が少ないバングラデシュ。結婚式のようなイベントがあると聞きつければ、男性はパンジャビと呼ばれる正装もしくはスーツ、女性はサリーを着て、おしゃれをして出かけます。

親戚や友人の結婚式だけでなく、知らない人の結婚式にもたまに紛れこむことがあるらしいです(単に式に出される料理目的という噂も......! )。

私も今まで、親戚に加え、夫の友人で直接知らない人の結婚式にもたくさん参加してきました。バングラデシュでは大家族や親戚の人数も多いので、日本では考えられないほど頻繁に結婚式に呼ばれます。

ちなみに、夫の父は6人兄弟、母は10人兄弟。夫の従兄弟は40人くらいいます。私は父方・母方の従兄弟合わせて6人しかいないので、ほぼ7倍!

さて、私たちの結婚式は、今年の6月に、夫の高校時代の友人が所有する大きなガーデンを借りて行いました。

私の親戚や在バングラデシュの友人たちだけでなく、日本やシンガポール、インド、オーストラリアからもはるばる参加しに来てくれた友人もいました。

式の基本的な流れは、ビリヤニやケバブ、サラダなどの料理を楽しみ、綺麗に装飾されたブースや会場内で写真を撮って撮って撮りまくる、というもの。

私たちの結婚式はちょうどラマダーンの時期だったので、イフタール(ラマダーンの時期、日の入りの19時くらいに食べる軽食)も出たり、新郎新婦やその親戚用に少し特別な料理も出たりしました。

開始時間や終了時間は決まっているものの、みんな好きな時に来て好きな時に帰って良し。

新婦の私は基本的にずっと椅子に座っていてみんなと写真を撮る時だけ立つ感じでしたが、新郎の夫は会場のあちこちを行ったり来たり。来てくれた人に挨拶しつつ、式の指揮までを行う感じで、ふたりで一緒に席についている時間はほとんどありませんでした。

こんな感じで、いたってシンプルかつ自由なバングラデシュの結婚式。日本の結婚式でいうファーストバイトや友人の余興のような催し、両親への言葉のようなセッションももちろんありません。

一般的にレストランやホテルで行うところ、今回私たちの結婚式はガーデンで行ったことで、木になっているマンゴーが食べ放題だったり、ヤギなどの動物とも触れ合えたりと、個性的な結婚式となりました。

私も、自分の衣装のサリーをお店で5分で選んだわりには結構似合っていて、みんなに好評で良かったです(普通、新婦のドレスは何店舗もはしごして選ぶと思うのですが、面倒くさがりの性格が発症しました 笑)。

バングラデシュでの結婚式などまったく勝手が分からないので、準備は全て夫任せでした。

バングラデシュでは計画が予定どおり行かないことは日常茶飯事。

当日まで会場設営がちゃんと終わっているのか、夫側の参加者の招待はちゃんと済んでいてみんな本当に来てくれるのか、ご飯はちゃんと準備されているのかなど、心配でたまりませんでした。

事実、二日前に会場を見た時は中途半端に骨組みがされてあっただけで、且つこれから雨が降ると作業ができないとのことで、本当にあと二日で終わるのか、私だけでなく私の親戚みんなが心配していました。

焦っていなかったのは夫やその親戚などバングラデシュ側だけ......。

でも結局、全てきちんと準備をしてくれ式を執り行うことができ、今となっては、夫に対して疑い過ぎてごめんという気持ちと、忙しいなか準備をしてくれた感謝の気持ちでいっぱいです。

豪華さで勝負?伝統的なバングラデシュ結婚式とは

▶伝統的なバングラデシュの結婚式

私の結婚式は1日で終わりましたが、伝統的なバングラデシュの結婚式は4日間にも渡って行われるそうです!

1日目は「ガエ・ホルード」と呼ばれる儀式。ターメリックという黄色いペーストを新婦の肌に塗って綺麗にする、というコンセプトです。

2日目も「ガエ・ホルード」。この日は新郎に対しターメリックを塗ります。

1日目も2日目も、それぞれ新婦側、新郎側のみで行われるそうです。

そして3日目は新婦側の親戚が開く披露宴。

最終日4日目は新郎側が開く披露宴。

多い時は1000人以上が参加するようです。

数日に渡る盛大なバングラデシュの結婚式。各家庭の財力を示すイベントとしての意味合いもあるそうです。

ただ最近では4日間開く家庭は少なく、1〜2日程度で執り行うパターンが主流となりつつあるようです。

また、私は行いませんでしたが、写真のように新婦の手の甲全体にヘナタトゥーを施すのが一般的です。バングラデシュっぽさが増しますね。

最後に 〜バングラデシュで嫁ぐこととは〜

バングラデシュでは日本よりも「結婚はマストである」という概念が強いです。

初めて会う人にも、名前や職業を聞かれるのと同じノリで、結婚してるのかと必ずと言っても良いほど聞かれます。

私も夫も、当初は結婚に執着しているわけではありませんでしたが、結婚していない頃から彼の実家に居候をさせてもらっていたこともあり、義母やその親戚から「いつ結婚するの? 」のプッシュがものすごかったです。「一緒に住んでいるのなら結婚以外ありえない。早くしろ! 」という感じでした。

バングラデシュ人と結婚したい稀な方がいらっしゃれば、早いとこ一緒に住んでしまえば、あとは周りのプッシュだけで結婚までかなりスムーズに進むことでしょう(笑)。

その後、結婚する日付をふたりで決め、その日に役所に書類だけ提出しようとしていましたが、いつその情報を嗅ぎつけたのか、当日は知らぬ間に、朝から親戚が結婚のセレモニーの準備を。何が起こるのかよく分からないままサリーを着させられ、いつの間にかセレモニーが始まり、親戚たちは当の本人たちよりも終始楽しそうでした。

多少強引(?)だけど、結婚を心底喜んでプッシュして祝福してくれたバングラデシュの親戚たち。温かい彼らと家族になれたことを幸せに思います。

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ライター

杉山 弥央/Mio Sugiyama

1988年生まれ、北海道出身。異文化と触れ合い新しい世界をみることが好きで、アイスランドの留学や世界約35ヶ国への旅、また東京で国際交流を目的としたNPO「Japanize」を友人と運営した経験あり。東京、シンガポールでの勤務を経て、2016年1月にバングラデシュに移住。新しい環境で奮闘中。

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