ロサンゼルスに住んでいる私。白髪を長く伸ばしている。

「あなたの髪って......長くない？」と、先日女友達に言われた。小ざっぱりとして実用的な自分のボブに、わざとらしく指をすべらせながら。

つまり彼女は「あなたの髪、長すぎる！」と言いたかったのだ。その前には「あなたの年にしては」という補足がつく。50歳を過ぎた女性が、まるで飼い主のいない子犬のような髪をしていると言いたかったのだろう。だけど彼女は私のことをよく知っているし、人生を楽しんで欲しいと思っているから、賢くもその言葉を避けたのだ。

しかし彼女の言葉には、警告、限界、統制が感じられた。それは、非情に髪を管理する、あの秘密組織「ユナイテッド・ヘアラインズ」が私たちにもたらした、厳格なルールだ。ユナイテッド・ヘアラインズは、年齢を重ねた女性の髪が、いかなる軽率な振る舞いをすることも許さない。動きのある、生き生きとして見えるヘアスタイルをしたら、こう言われる。まあ、そんな髪型をするなんてずうずうしい！ 次は何をするつもり？ 自分でそうしようと思ったの？ そんなに目を引くような髪型をするなんて、限界はないと信じているの？

私は長く伸ばした白髪がとても気にいっている。きれいに見えるし、きちんと手入れをしているし、それに扱いも楽だ。この長さだったら、色々なヘアスタイルを楽しめる。ポニーテール、アップ、三つ編みだっていける。

私はラッキーだ。フリーランスのクリエイティブ仕事をしているから、歌手のピンクみたいなレザーカットだってできる。だけど、政治や大企業で働く、それほど若くない女性は気の毒だ。彼女たちは、自由なヘアスタイルを楽しめない。全ての人に、1つの髪型が適用される。

ヒラリー・クリントン（68）は、何ヶ月も前から、あのヘルメットのようなクラシックな髪型にしている。あの髪型だと「とにかく仕事ができる」印象を与えられるんだろう。だけど私には、あの髪型が週ごとに固くなっていっているようみえる。彼女は、肩にかかる素敵なヘアスタイルを数週間楽しんだ後、ユナイテッド・ヘアラインズヘルメットヘア本部の厳格な管理下に戻ったのだ。そこにはすでに、マーガレット・サッチャーからアンゲラ・メルケルまで、女性政治家のヘアスプレーがずらっと並べられている。女性政治家の信用は、髪型にかかっているのだ。

髪の長さは、その女性がどんな人かではなく、彼女がどれくらい地球に存在しているかで決まる。50歳を過ぎると、女性は自動的にユナイテッド・ヘアラインズの一員に登録される。それが「年齢を重ねた」女性が髪を短くすることになっている一般的な年齢だからだ。誰も彼女たちをビヨンセやラプンツェルと間違えなくていい。50歳以上の女性の肩を超える長い髪は、「何かおかしい」と判断される。長い白髪は、それだけで挑発行為なのだ。

「慎み深さの法則」を5インチ（約12センチ）オーバーする髪が、多くの人々を怒らせていることに、私は困惑している。笑えることでもあるけれども。まるでこの女性たちが、社会の裏切り者で、リハビリが必要な髪型社会病質者であることを知ったかのような怒りなのだ。すべてが、悲しい儀式だ。検閲と懺悔の匂いがする儀式。いけにえの子羊と、奪われた髪。女性が羽目を外しすぎたり、独立しすぎていたり、知性がありすぎたりする時は、いつもこんな反応になる。髪を切れ、身の程を知れ。

なんで髪を切らないの、なんて辛辣で嫌な質問はもうたくさん。本当に聞きたい質問はこうだ。いったいなぜ、誰もが髪を短くし、可哀想なヒラリー・クリントンのように、野暮ったいヘアスタイルを受け入れることで、能力のある人間だと思われたいんだろう？ もちろん、短い髪が悪いなんて言ってない。シャロン・ストーンのスタイリッシュなピクシーカットや、ヘレン・ミレンのボブはとても魅力的だ。問題は、お行儀がよすぎる目立たない髪型だ。

もし、仮に「長すぎる髪」というものがあれば、それはむしろ体型や髪質との関係の話であって、年齢やしきたりとは関係がない。私のルールはシンプル。髪がある限り、楽しめる間は楽しむ！だ。更年期の後は、髪は引退を考え始める。そして、昼寝前の年金生活者のように、のんびりするらしい。だから、素晴らしい髪をもっている間は、大切にしたい。

いいニュースもある。白髪を長く伸ばした、魅力的で自信にあふれる女性たちが増えている。おしゃれにカットし、堂々と歩いている。彼女たちにとって、髪は誇りと経験と上品さを表しているのだ。

女性は、ひとりで生きているわけじゃないから、長い白髪についての男性の意見を紹介させて欲しい。男性だって長い白髪が大好きのようだ。

ユナイテッド・ヘアラインズの会員登録はキャンセルしよう。ヘルメットを取ろう。髪を伸ばそう。

Earlier on Huff/Post50:

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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