「Petfig」の中の人に聞いた、3Dプリンタと猫の話

「そーいえば、昨年は3Dプリンタブームが到来したけど、現状はどうなのだろうか?」と気になりまして、猫にかこつけて、Petfigの中の人である3DWaveの代表・角村嘉信さんへ、そのあたりを伺ってみることにしました。
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昨年の7月に、猫ジャーナルにて紹介しました、3Dプリンタで猫をはじめとするペットのフィギュアが作れるサービス「Petfig」。「そーいえば、昨年は3Dプリンタブームが到来したけど、現状はどうなのだろうか?」と気になりまして、猫にかこつけて、Petfigの中の人である3DWaveの代表・角村嘉信さんへ、そのあたりを伺ってみることにしました。

■3Dデータの修正に、1カ月近く掛かることもある理由とは

角村さんが3Dプリンタを知ったのは、2012年の11月。テレビで紹介された「OMOTE 3D SHASHIN KAN」(現在は閉館)を見たときのこと。「自分も猫を飼っているから、ペットのフィギュアをこれで作れば絶対に面白い!」と思ったものの、3Dプリンタでフィギュアを作るサービスのWebサイトを見ると「静止できないと作れない」という旨があるのがほとんど。でも、ユーザーが作りたいと思うのは、静止できないペットや子供...。このギャップに対して、写真を元にフィギュアを作れないかと、ネットで調べた国内外の製作会社へ問い合わせたものの、費用の高さに直面します。そんなに高いと面白いものも作れない、では、自分で仕組みを作ろう、と始めたのが「Petfig」だったそうです。2013年5月31日にスタートした「Petfig」。まもなく丸一年が経過しますが、「激動の1年だった」と、角村さんは言います。

記事TOPの写真で、角村さんが手に持っているのが、飼い猫「ジュニア」のフィギュア。「Petfig」で提供されているのと同じ製造工程で作った、最初のフィギュアで、まさに記念すべき一品。現在は、加工技術も進歩し、ツルツルとした触感になったり、フィギュアの表面に筋を入れて毛並みを表現できるようになっています。ちなみに、ジュニアは現在10歳くらいとのこと。「Petfig」への注文数は、月間で20~30体。累計では200体以上に。犬猫がほとんどで、犬フィギュアのほうが多いんだそうです。

注文から到着までは、現在のところ約2カ月。特に時間が掛かるのは、3Dモデルデータの作成とその修正。その理由はというと...

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角村:「まず、1つの3Dモデルデータを作るのに3日ほど掛かります。できたデータ(上に掲載の「4方向からの平面データ」)を注文主に確認してもらうのですが、ここが一番時間が掛かります。直せば直すほど、お客様のこだわりが出てくるんです。長いものでは、修正のやりとりだけで1カ月近く掛かるときもあります。手元に届いたあとでお礼のメールを下さる方の半数くらいは、亡くされたペットのフィギュアを依頼される方で、そうでなくとも、大好きな猫や犬だから、やっぱりこだわりの度合いがひとしおなんですよね。そういった、思い入れのあるフィギュア、いわばペットの分身を作る仕事ですから、そのやりとりでのコミュニケーションがとても大切で、一緒に作っている感覚が大きくなっていきます。だから、どこまで要求されても、それに絶対応えるべきと考えています。そのやりとりの記憶が、プロダクトに結びついて、思い出として話してくれるかも知れません。それが様々な形で次に繋がるように思います」

■3Dプリンタ界隈の動向

角村さんの指摘では、昨年は「3Dプリンタで作った」だけで注目されたが、それももう過去の話。店頭で家庭用の3Dプリンタがおかれて、目に触れる機会も増えたことで、買う側のリテラシーが高くなったため、個人用の3Dプリンタの販売台数も伸びが鈍くなっているとか。そのため、次の段階へと繋げる仕掛けが必要な時期が、今年だと言います。「次の段階」について、具体的に伺ったコメントは以下にて。

角村:「今、3Dプリンタ市場を作っているマニアックな人たちはいるのですが、そこに加えて、『もの作りや技術には興味はない人たち』や、『何かを作りたくてウズウズしている人たち』に注目されないと、限定的なブームに終わってしまいかねません。前者に向けては、自分で考えてものを作ること自体が、すごくオシャレで、かっこよくて、スタイリッシュなことだと、自然と受け取ってもらえるような文化作りを通じて、3Dプリンタで作ったものを手にとってもらったり、もの作りに参加してもらったり。後者に向けては、個人のメイカーが、電子基板や試作品を3Dプリンタで作ってみようと思えるようになると、作る側のクリエイティビティに依存する道具である3Dプリンタの可能性がよりわかりやすく伝わるのではないかと思います。『3Dプリンタでのものづくり文化形成』が、今年は課題です」

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作りたいと思う人がいないと、3Dプリンタも使われない、と語る角村さん。啓発活動を草の根的に展開し、来年、再来年へと、その成果が実を結ぶことを、また、Petfigで喜ぶ人がもっと増えることを、新しもの好きであり猫好きの一人として、祈っております。

すでに、3DWaveの公式ブログでは、「3Dプリンター速報」や、「3Dプリンタサービスまとめ」といったカテゴリで記事がまとめられ、角村さん自身で情報発信を行っています。こちらも合わせてご参考にどうぞ。

Petfig3DWave

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(2014年5月20日「猫ジャーナル」より転載)