オフィスから1000キロ。北の国から、0歳の子連れでテレワークしてみた

テレワークしたら見える景色があった。そうだ私は鉄子だった
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普段から、よくリモートワークで働いている。

朝から家で原稿を書くときもある。取材や打合せの合間にカフェで仕事するときもある。子供の体調が良くないときは、在宅で働く。通勤時間がなくなってメイクもいらない。

ハフポスト日本版の編集部では、普段からSlackでチャットしてビデオ会議をしている。他のメンバーもリモートワークは慣れていて、基本的に困ることはない。

浮いた時間でちょっとした片付けもできて、保育園のお迎えに行く体力も残せて、心の余裕も生まれる。それでも、ワーママ1年生で子育てと仕事の両立に追われる日々でモヤモヤしているんだけど。

そんな筆者が11月初旬、東京のオフィスから約1000キロ離れた北海道の斜里町で、4日間のテレワークに行ってみた。11月はテレワーク月間らしい。いざ、夫と0歳(生後11カ月)の息子と一緒に家族で北海道へ。

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Kaori Sasagawa

行く前はいつもと同じリモートワークだと思っていたが、待っていたのは、いつもと全然違う景色だった。

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通りすがりのキツネさん

ちなみに、テレワークとは「場所や時間を有効に活用する柔軟な働き方」のこと。リモートワークは、「遠隔勤務」を指すようだ。時間の概念は入っていないという。

テレワークを推奨し、国の地方創生プロジェクトにも参画するワイズスタッフ代表取締役の田澤由利さんは、「テレワークという広い働き方概念のひとつとして、在宅勤務やモバイル勤務、リモートワーク、サテライトオフィス勤務がある」と説明してくれた。なるほど。

出発は平日の朝。羽田空港へ向かうが、通勤時間にベビーカーを持って電車に乗れない。3本見逃して、ホームの最後部に移動して強い意志で乗り込んだ。もちろんベビーカーは畳んだ。乗り換えもエレベーター探しで一苦労だった。

京急線では「家族とはぐれ迷子になった」という85歳のおばあさんに出会った。「どこで降りればいいかわからない。こんなことは今までなかった」と本人。自ら認知症を心配し、とても不安がっていた。空港まで一緒に向かい、電話で家族の方に居場所を伝えた。

なんだか、非日常の時間を過ごすだけで、いろんな気づきがある。まだテレワークする前なのに。

北海道の女満別空港から車で1時間半。北の果て、知床の斜里町では、青い空と大地の大自然が広がっていた。途中で寄った「海の見える駅」北浜駅は、見渡す限りオホーツク海だった。

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眼前に広がるオホーツク海
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数年ぶりの北浜駅。ベンチが可愛い。そうだ私は鉄子だった。

翌朝、仕事をしようと居住スペースの階下にあるテレワークの部屋へ。回線は高速で問題ないが、MacのACアダプタの先端を忘れてしまった。なんとAppleの製品は、北見市の家電量販店にしか売っていないという。北見までは車で1時間半。困った。

結局、現地でお世話になった「知床スロウワークス」山内浩彰さんの前職時代の部下がMacユーザーで、その方にACアダプタの部品を借りることになった。人の縁で解決できてしまった。東京にいたら、すぐに新しいのを買っていただろう。

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いびつなACアダプタ。ちゃんと使えます

そうして、いつも通りに仕事をして、記事を書いて、夕方の編集会議にもビデオチャットで参加した。息子は広い部屋のカーペットでハイハイしていた。

一歩町に出れば、子育ての大先輩のお姉さん方が、代わる代わる息子と遊んでくれた。

親の介護で東京の仕事を辞めてきた人、新聞記者を経て斜里のリトルマガジンを手がける人。写真家と進めているアートプロジェクトや、明日に控えた子供の七五三の話。地産のいくら丼をいただきながら、観光するだけではわからない、いろんな人の暮らしを聞いた。

ふらっと入った居酒屋の大将も、合間に息子を抱っこしてくれる。

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息子を抱っこする居酒屋の大将

帰りに、お世話になったご夫婦に、熱々の野菜ラーメンをご馳走してもらった。

都会では、子連れだと「すみません」といってばかりだが、斜里では、子供が地元の人たちと繋いでくれたように思う。

なんだかテレワークって面白い。4日間じゃ足りない。

そう実感しながら、あっという間に東京に帰ってきた。

ちょうど、 Google が六本木の好立地で、期間限定の Google テレワークラウンジを開設していた。

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「働く場所が自由になったときに、どういうところで働きたいか。例えば、家族と一緒に過ごしながら働くのか。自分の理想の働きかたを考えるきっかけになる」

Google のブランドマーケティングマネージャーの山本裕介さんは語った

そう、テレワークの効能は、通勤時間の削減や、メイクをしなくていいだけではない。子育てと仕事の両立がしやすい、だけではない。そもそも長時間労働が問題になるほど、みんな十分に働いている。もう少しくらい柔軟な働き方をしてもいいのだ。

赤ちゃん連れの熊本市議をきっかけに #子連れ会議OK が議論になっているが、今なら「子連れがOKかNGか」だけではなく、テレビ会議で参加するなど別の選択肢の話があっていいのではと思う。

どこでも働けるなら、どこで働きたいか。

どういう人と会って、どういう時間を過ごすか。

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紅葉が美しい「天に続く道」

青空の広がる場所で、通勤電車のない地域で、子供に優しい人たちと働いたことは、自分の生活を見直すきっかけになった。ワーママのモヤモヤも薄らいだと思う。ローカルにも関心が出てきた。

テレワークしたら見える景色があった。また行きたい。

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「天に続く道」の起点。かわいいクマの看板と、ヒグマの注意を促す看板