『マチルダとふたりのパパ』が発売。同性婚家庭を描く絵本が生まれた理由とは?

メル・エリオットさんが絵本を書いたきっかけは、当時4歳だった娘の一言だった。
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岩崎書店
マチルダとふたりのパパ

「おかあさんは どこにいるの?」

「うちは おとうさんが ふたりなの。ふたりは、とっても なかよしなんだ。おとうさんが ひとりに おかあさんが ひとりじゃない かぞくも あるんだよ」

パールの学校に転校してきたマチルダには、お父さんが2人いたーー。

岩崎書店が3月14日、同性婚の家族をテーマにした絵本『マチルダとふたりのパパ』を発売した。イギリス発のこの絵本では、多様な家族があること、そして「同性婚の家族」も「普通の家族」となんら変わらないということが、少女パールの視点で描かれている。

近年、同性婚や多様な家族のあり方をめぐる動きが、世界全体で急速に大きくなっている。同性婚を認める国は3月時点で、世界25カ国。日本では2月に、13組の同性カップルが「法律上の婚姻関係が認められないのは、憲法が保証する婚姻の自由を侵害している」として全国の4地裁に提訴した。

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岩崎書店
マチルダとふたりのパパ

物語は、マチルダがパールの学校に転校してくるところから始まる。マチルダは、足が速くて、木登りが上手で、泥んこ遊びが大好きな、パールとそっくりな女の子。パールは、ひょんなことから、マチルダにお父さんが2人いることを知る。

ある日、マチルダのお家に招かれたパール。パパが2人いるマチルダの家族に大きな期待を膨らませていた。きっとうちとは「違う」、素敵な何かがあるんだろうと。

「だって、パパと あそぶのは すごく たのしいから。ということは、おとうさんが ふたりなら、たのしさも 2ばいの はず!」

「マチルダの おとうさんたちも うちの パパみたいに ケーキや アイスクリームが すきかな。もしかしたら、ゆうごはんは おかしかも!」

 ところが、マチルダのお家から帰ってきたパールは言う。

「うーん、おもってたよりはたのしくなかった」

「そうぞうしてたのと ちがうんだもん!ぜんぜん ふつうで つまらなくって……うちの パパと ママと かわらないんだよ!」

マチルダは、パパが2人いるマチルダの家族も、自分の家族と変わらない「普通の家族」だと気付く…。

岩崎書店・プロモーション部の加藤ひかるさんによると、主人公パールは作者メル・エリオットさんの娘である「パール」がモデルとなっている。絵本を作ったきっかけは、当時4歳だったパールの一言だった。

「男の子は医者になり、女の子が看護師になると知っている」

娘がマスメディアや広告などの周囲の環境から、勝手なジェンダーイメージを植えつけられていることにショックを受けたエリオットさん。こうしたジェンダーイメージに対抗するために、この絵本を生み出した。

原書を発行したイギリスの出版社には、「子どもたちだけでなく、『普通の家族』である大人にも読んでもらいたい。この複雑な問題を大人も理解し、一緒に考えていきたいから」という感想が届いたという。

加藤さんもハフポストの取材に対して、「本書のテーマへの社会的関心も高まっていることから、幼児から大人まで読んでいただけるものと考えております」と話している。

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マチルダとふたりのパパ