目指すは中高生の身近なヒーロー/YouTuber HIKAKINさん

今、最も興味・関心を持たれ、検索されている人物の一人であるHIKAKINさん。数年前までは、スーパーで働いていたというHIKAKINさんの岐路はどこにあったのでしょう。
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一説によると、YouTuberという言葉が世の中に生まれたのは、2011年ごろ。それから3年の月日が流れた昨年12月、「Yahoo!検索大賞2014」のスペシャル部門を受賞したのは、YouTuberのHIKAKINさんでした。

俳優でもない、タレントでもない、YouTuberという存在が、日本の社会においても一目置かれる存在になってきたということが、対外的に示された瞬間だったと言えるでしょう。

今、最も興味・関心を持たれ、検索されている人物の一人であるHIKAKINさん。

数年前までは、スーパーで働いていたというHIKAKINさんの岐路はどこにあったのでしょう。そして、今注目の動画という分野で、ヒットし続けるコンテンツを生む秘訣はなんなのでしょう。

2014年の顔となり、2015年、さらなる飛躍が期待されるHIKAKINさんに、今年の抱負を伺いました。

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こんないい仕事はないわよ

―YouTubeとの出会いはいつですか?

高校生の時に、ヒューマンビートボックス(人の口だけを使っていろんな音を出してパフォーマンスを行うこと。以下、ビートボックス)というパフォーマンスを始め、その動画をアップするために、2006年12月にYouTubeの公式チャンネルを開設しました。最初は、もっと他のうまい人を見るという目的で始めましたね。まだ日本でYouTubeって言っても、全然知られていなかったころです。

ビートボックスそのものは、フジテレビでやっていた「力の限りゴーゴゴー!!」という番組の「ハモネプ」というコーナーの影響で、小学生くらいからやっていました。チャンネルを開設してすぐに動画をアップしたのですが、今は残っていません。下手すぎて恥ずかしいので、あとで削除してしまいました。現存している一番古いものは、2007年にお風呂で撮影したビートボックスの動画で、高校3年生の時のものです。でも、高校時代はそんなに動画はアップしていませんでした。

高校卒業と同時に、地元の新潟から上京してスーパーに就職しました。それからは月に1~2本ずつ、お風呂とか部屋ですごく安いマイクなどを使って撮影し、アップしていましたが、2年くらいは何も起きませんでした。でもちょっとずつ見られてきていて、そのころ一番伸びていた動画で20万アクセスくらいでしたね。ほぼ海外からのViewで、日本からのアクセスは1~2割でした。

―いつ、その環境が変わったのですか?

上京して3年目に入るくらいの2010年に、マリオの動画『Super Mario Beatbox』がYouTubeにおける日本国内月間アクセス一位を記録したことをきっかけに、テレビの出演がポチポチと出てきて、その年に5回くらい出させていただきました。と同時に、パフォーマーとして、ライブのオファーがちょっとずつ来るようになって、ライブの合間にたまにテレビに出られるくらいのペースで1年ほど活動していましたね。

ちょうどその頃、アメリカのトップYouTuberであるミシェル・ファンが来日し、YouTubeが企画した彼女の講演会がありました。それに行ったことが、僕にとって、ものすごい転機になりました。

その場でミシェル・ファンは、「好きな時間に動画を撮影して、好きな時間にその動画をアップするだけで仕事になっているの。こんないい仕事はないわよ」と話したんです。この言葉を聞いた時、ものすごい衝撃でした。すっげぇ、と思って、そうとう燃えましたね。僕も絶対そうなりたいって強く思ったんです。それまでは、「そんなに稼げるの?」みたいな気持ちで、これで生活するという考えさえなかったんです。ですが、その演説を聞いて、考え方が変わりました。そこから3カ月、本気でYouTubeに取り組んだんです。

すべて忠実に従った

―具体的にどんなことをやったのですか?

ミシェル・ファンの講演会で、YouTubeの中の人に初めてお会いしました。僕も当時の日本の中では、比較的トップのほうのViewを取れてはいたんですが、「もっと本気でやりませんか?」ってYouTubeの方に声をかけていただいて。「どうして月に1~2回しか動画をアップしないんですか」と言われたので、「マイペースでちゃんとした作品作りたいんで」って答えたら、「それじゃ仕事にならないですよ、せめて週に1回は上げましょう」とか、「チャンネル登録してね、って言いましょう」とか、いろいろアドバイスをいただいたんです。僕、それまで一切言ってなかったんですね。今となれば、みんな当たり前にそういうこと言っているけど、当時まだ誰も言ってなかったんです。

そうやって、YouTubeの人と月1~2回会って、基本的なことを教わり、それを僕は忠実に、すべて従ってやりました。でも、最初の1カ月はこんなんで食べていけないでしょって半信半疑でした。それが2カ月目で、あれ?あれ?ってなって、3カ月目でバッチリ。結果が驚くほどついてきたんです。それで、上京してから4年くらい経った時に会社を辞め、YouTubeでの活動に専念するようになったんです。日本ではまだそれまで、YouTuberとして独立してやっている人は誰もいなかったんですが、ミシェル・ファンの講演会後、ちょうど僕と同じ時期くらいに、4~5人出始めました。

ちなみに、YouTube上にも、クリエイターガイドブックみたいな、これをやってViewを伸ばしましょうという内容のハンドブック的なものが載っています。あれを全部きちんとやれば、けっこうViewは伸びると思いますよ。

柔軟に変化

―コンテンツを作る上で、工夫していることは何ですか?

ノウハウなどは、そのハンドブック的なものに書いてあるんです。間延びしないようにちゃんとカットしましょうとか、チャンネル登録してくださいって言いましょうとか、動画は何分以内がいいですよ、とか。

それ以外の心がけている要素としては、やはりアイデアそのものですね。今、世の中で何がイケてるかを意識したり、今、時流に乗っていることをいかに柔軟に変化しながら取りこんでいけるか、ということが大切です。僕はどんどん方向転換でもなんでもしていこうと思っている人間で、前はパフォーマンスだけしかやっていませんでしたが、しだいに商品紹介とかも始めました。世の中で何がイケてるかとか、こういうものがアツイとか、世の中のことに敏感になっている必要がありますよね。

―コンテンツを作る上で、気をつけていることは?

自分が面白いと思うかどうかが、始める基準です。すごく流行っているもので自分がやってなかったら、まずやってみようと思うんですけど、これは自分には合わないというものだったら続けないですね。自分が続けられる楽しさというか、面白さがあるかどうかで、コンテンツの題材にするかどうかを決めています。ゲーム実況も商品紹介もそうです。その後にちょっと考えるのは、一般的に見て面白いかどうか。自分だけが面白いと思っていてもダメですが、一番大切にしているのは自分が面白いと思うことですね。

「古くならない」がカギ

―Viewが伸びるコンテンツに共通点はあるのでしょうか?

ありますね。古くならないコンテンツというのが大事です。例えば商品レビューでいうと、新商品とか期間限定商品を題材にすると、これって去年のじゃん、とか、もう売ってないよねってなってしまいます。でも、ワサビで歯を磨いてみた、とかだとその動画は古くならないでしょう。僕のコンテンツで100万アクセスを超えてずっと伸び続けるものは、わかりやすい、かつ古くならないものです。だから料理とかは、意外と強いコンテンツだったりするんですよ。チャーハン作ってみるとか。ただ、単にチャーハン作っても見てもらえないので、その時のトレンドも入れながらやっていますけどね。

―今、注目しているものは?

2013年の10月から、コンテンツの題材としてゲーム実況を始めました。プレイしている画面と同時に、プレイしている自分の顔も録画してワイプで出すんです。ゲームは2014年の一年間で一気にきましたね。これは世界共通の流れです。世界のトップYouTuberがゲーム実況をやっていて、僕と同い年なのですが、とんでもないViewを稼いでいます。日本でも、僕の後から続々とゲーム実況をやる人が増えて、一気にYouTube上の主流コンテンツになりました。一年もあれば、ガラッと流行るものが変わりますよね。でもこの流れは2015年も継続すると思っているので、引き続き、ゲームには注力していきたいです。

「好きでなんとなく」が伸びる

―2015年に伸びそうなものはなんでしょう?

モンスターストライク(モンスト)、マインクラフト(マイクラ)は今後もありますね。商品で言うと、定番商品の味違いで、例えばガリガリ君の○○味とかはViewが伸びるので、注目しています。WEBニュースになるような切り口は伸びますね。

あと、個人のブロガーさんみたいな方で、毎日のようにYouTubeに投稿している方が、今、かなりViewを伸ばしているので、そういう人に興味があります。最近、「HIKAKINさんに憧れて動画やってみた」という若い人がけっこういてくれて。そういう人に対して、「やめとけ、一生残って黒歴史になるぞ」みたいなアンチの人もいるんですけど、でもそんなことないと思うんです。そういう「とりあえずやってみた」みたいな人が伸びると思います。ビジネスで狙って当てられる人は本当に少なくて、好きでなんとなく始めてみたような人が伸びると、僕は思っています。やめとけって言う人と、やってみたらいいじゃんっていう人で、全然変わってくると思います。

一回、ぐぐぐっとViewが伸びればその後も続くので、「この人ってこれで有名になったよね」と言われる代表作ができることがすごく大事ですね。顔出しの人は特にそう。僕で言うと、マリオとか、ゲームの青鬼とかですね。熱狂的なファンがつけば、何をしてもその人だから面白いってなるし、その人自体を好きになってもらえれば本当にすごい。若い人のエネルギーはすごくて、若いスターYouTuberは今後、まだまだ増えると思います。

誰でもできそうなこと

―YouTuber市場はまだ伸びますか?

伸びると思いますね。きっとこれまでも下がったことないんじゃないかなと思います。今は、スマホでしかYouTubeを見ない人が増えていて、スマホ普及率の伸びが市場に影響しています。若い人はもちろんですが、おじいちゃんやおばあちゃんもスマホでYouTubeを見るようになるかもしれないし、市場の伸びは鈍化することはあるかもしれないけど、下がることなく伸び続けると僕は思います。

アメリカの調査で、ティーンの憧れている人についてアンケートをとったら、10位中6人がYouTuberだったという結果があるんですよ。WEBで憧れている人じゃなくて、フラットに聞いてですよ。1~5位をYouTuberが独占して、6位にようやく映画俳優がランクインするんです。こんな現象が1~2年後に日本でも起きるといいなと思っています。

―どうしてYouTuberが人気になったのでしょうか?

このくらい近い存在というのが、これまでなかったんだと思います。ハリウッドスターとかだと、SPがついてレッドカーペットを歩いていてみたいな、かなり遠い存在じゃないですか。それゆえの憧れもあったと思うのですが、今はその憧れの指標も変わってきているのかもしれませんね。

手が届きそうで、自分でもなれそうみたいな、近い存在なのがいいんだと思います。誰でもできそうなことをやっているのも共感が持てるのかもしれませんね。スタジオでCGとか使って撮影しているわけじゃなく、自分の部屋でパズドラやってるとか、コンビニで買ってきた、みたいな。

家族みんなで見られる

―今年の目標は?

2014年はCMに出させてもらったり、渋谷駅の駅貼りポスターに出たりと、ネットタレントではありえないことが普通に起きて、YouTuberの底上げというか、YouTuberが世間に認められるような活動ができたと思います。これからも引き続き、YouTube市場そのものが盛り上がるような活動をやっていきたいです。

僕のファンって小学生や中学生がメインで、すごく若いんですよ。だから、だんだん自分の年とファン層の年が離れていくので、そこは意識していかないとな、と思っています。なので、コンテンツの題材としてアルコール類はやっていません。家族みんなでご飯を食べながらでも見ることのできるコンテンツをやっていきたいと思っているので、下ネタも言いません。お母さんが見て「こんなの子どもに見せたくないわよ」って思わない動画をやっていきたいんです。きわどいラインをやれば単純にViewが伸びるのはわかっていますが、それにはリスクも伴います。例えば、僕が危険なことをやって子どもが真似したらどうするんだ、というクレームもくる可能性があるわけですよね。そういうことはしたくないな、と。教育番組とまでは言わないけど、中高生にとっての身近なヒーローというか、距離感は近くありたいと思っています。

僕は芸能人じゃないと思っているし、プライベートはすごく地味です。普通にゲームしてそれを動画に撮って、コンビニ弁当食べる、みたいなことをやっているだけなんで。イベントとかすると、「きゃ~」とか言ってくれる人がいるのですが、いやいや、全然普通だから、という気持ちです。映画に出るような俳優さんとかよりも、もっと一般の人に近い生き方をしていると思います。

―そんなHIKAKINさんのファンや、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

動画に限らず、迷ったらまずやってみてほしいですね。やった人にはいつか、その人が予想しないようなチャンスがくると思うので、そういう人にエールを送りたいです。

―ありがとうございました!

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<HIKAKINさんプロフィール>

1989年生まれ。総再生回数15億、月間1億再生、チャンネル登録者は490万人(2014年12月現在)を誇る、日本最高峰のYouTuber。ビートボックスやゲーム実況、商品紹介などの日常動画をYouTubeに投稿し、数多くの人を魅了している。2013年にはエアロスミスのツアーに参加。YouTubeタレント事務所UUUM株式会社ファウンダー兼最高顧問でもある。

好きなもの:ラーメン。都内で最も好きなラーメン屋は東十条の燦燦斗。