フォルクスワーゲン、排出ガス不正対策費捻出のため、管理職の昇進停止と研究開発費の削減を決定

新CEO、マティアス·ミラー氏は、クレディ・スイスの試算は「あり得ない」とすぐに反論した。

先週、金融大手クレディ・スイスは、フォルクスワーゲン(VW)の排出ガス不正問題に関してVWが負担する対策費が、最低で230億ユーロ(約3兆500億円)、最高で780億ユーロ(約10兆3,500億円)に上るという試算結果を投資家宛てに送った。これに対し、同グループの新CEO、マティアス·ミラー氏は、同社が初めに発表した対策費65億ユーロ(約8,650億円)はあくまで最初の一部になると認めたものの、クレディ・スイスの試算は「あり得ない」とすぐに反論した。しかし、独ビジネス専門誌『Manager Magazin』は、VWの幹部が対策費の見積もりを300億ユーロ(約4兆円)超と出していると、あるVW内部関係者からの情報として伝えており、同社は最も高い試算額を告白すべきだと指摘している。

これは投資家にとって残念なニュースだが、同社のマネージャーたちにとっても残念なことがある。VW幹部は、この問題に伴う一連の費用を捻出するため、来年は管理職の昇進を停止することに決め、膨らみ続けるコストの削減に向けて対策を講じると見られている。これに対して同グループの労働組合の代表者とドイツの金属産業労組(IGメタル)の代表者は共に、管理職の昇進を停止することは、まさにVWを"象徴"しているが、彼らと同じように幹部のボーナスも削減されるのかは疑わしいと批判している。

クルマ好きにとっても残念な報せがある。この一連の動きの中で打撃を受けるのは研究開発部であり、研究開発費が減らされるため、次期型「ゴルフ」(ゴルフ8)は現行型と部品をできるだけ共通化し、最大限活用することで新型の開発費を抑えることが検討されているのだ。同社は、現行のプラットフォームを次期型に持ち越しても「技術的にはまったく問題ない」と見ており、これらの対策が大幅なコスト削減へとつながっていくと考えている。

アナリスト達は、第3四半期の営業損益が約35億ユーロ(約4,650億円)の赤字になると予想しており、2014年度第3四半期の営業損益32億ユーロ(約4,250億円)の黒字と比較すると、利益と損失が大きく逆転している。巨額の赤字を克服するために、VWは一歩ずつしっかりと踏み進まねばならないだろう。すでに同社の人気モデルが軒並み打撃を受ける中、全ラインナップのうち、どれだけの製品開発に影響が出るのか。また、それについてクルマ好きの人々や購入者はどう思うだろうか。心配されるところだ。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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