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【博報堂→起業→博報堂→起業】その非凡なキャリアが導いた不動産業界の新しいビジネス

マンションの口コミサイトを運営する株式会社レンガの代表・藤井真人氏のキャリアは独特だ。しかし、この一風変わったキャリアは、現在の仕事にとても活きているという。
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マンションの口コミサイト、マンションノートが成長を続けている。集客コストをほとんど掛けずに100万件以上の口コミを獲得。開発を手掛ける株式会社レンガの代表・藤井真人氏は博報堂でマーケティングや新規事業、エニグモでは創業メンバー・取締役COOとして数々の経験を積んできた人物だ。マンションノートの生まれた背景、藤井氏のキャリアを伺った。

【Profile】

株式会社レンガ 代表取締役

藤井真人 Makoto Fujii

新卒で博報堂に入社後、ナショナルクライアントを中心にマーケティングを担当。2004年、エニグモの創業に取締役COOとして参画。2010年に博報堂に出戻り転職し、新規事業の企画やIT企業への投資業務に従事。2012年12月レンガを創業、マンションノートの開発運営を手掛ける。

日本最大級のマンション口コミサイトが生まれた理由

― 藤井さんにはもともと起業欲はあったんですか?

エニグモの創業を経験し、いずれまた「自分がやりたいこと」で起業したいと思っていました。誰かが「面白い!」と思うサービスではなく、日々の生活や人生の中で利用いただいて、「ああ、あのサービスあってよかったな」という「生活インフラ」になり得るサービスを作りたいと。多くの方々が困っている社会課題に向き合い、解決できるサービスです。

― 2度目の起業はなぜ不動産の領域、マンションの口コミサイトだったんでしょう?

インフラの中でも、「住」の分野は自分一人だけではなく家族にも影響するもので、且つスイッチングコストが高いという特徴があります。買うにしろ借りるにしろ、住まいにかけるお金は自分が使えるお金の大部分を占めるもの。つまり住まいを選ぶことは、それ以外を選ぶことにも強く影響すると考えていて。

さらに自分がマンションの購入を検討した時に感じた、「情報の非対称性」と「知りたい情報が見つけられない状況」を、絶対に変えるべきだと思いました。

マンションの購入を検討した際、探して目にするのは基本的な情報だけでした。結果よくわからないので内見に行くのですが、物件情報を一番知っている不動産会社の方からは(都合の)いい情報しか出てこない。

でも完璧な物件ってありませんよね。いくらスペックが良くても周辺のエリアに馴染めないポイントがあったり、昼と夜で全く違う一面があったり、近隣住民の方々の特徴や街の歴史がそれぞれあったり。

情報化社会にも関わらず、そういった情報がまったく整理されていなかった。その時私は「都合の悪い情報」も含めて、あらゆる人が「住」に関わる選択できるようになるべきだと思いました。一番リアルな情報を持っている、そのマンションに住んでいる人や周辺に住んだことがある人の声を、「住宅の選択」という非常に大きな人生のタイミングで悩む人に役立つ情報として届けたい。

そんな経験から人生の一大決心を手助けする絶対的な正義、善のサービスとしてマンションの口コミサービス「マンションノート」の構想が生まれました。

2回目の起業は、大手広告代理店と過去の起業を経たからこそ

― 藤井さんはレンガの創業前に博報堂→起業→博報堂というキャリアを歩まれています。それまでの経験は2度目の起業、マンションノートに影響を与えているんでしょうか?

博報堂とエニグモの経験あってこその、マンションノートなのは間違いないです。

私が博報堂に新卒で入社した理由は、いろいろな業種を横断的に見ることができると思ったからなんです。意思決定をする経営者から現場の方までいろいろな方とコミュニケーションを取ることで、事業モデルから現場のマーケティングまで肌で体験することができ、ビジネスのいろはを存分に学べました。

広告代理店って、いかにクライアント、正確にはクライアントが提供する商品・サービスの潜在購入層・利用層が喜ぶような企画やマーケティングに落とし込めるかを考え続ける、実行し続ける世界なんですね。ある意味、ユーザーやクライアントのことを「思い続ける」思考訓練の場を、若い時に持てたのはかなりの資産になっています。

創業から携わったエニグモでは取締役COOとして、資金調達から提携、事業開発、営業まで本当に何でもやりました。数々の失敗と危機を乗り越えた経験があるからこそ、いわゆる「スタートアップの勘所」がなんとなく分かっていて、2度目のレンガでは様々な面でスムーズに事を進めることができたと思います。

― 具体的にはどんな場面で?

例えば起業した後のステージ毎に、何に時間とお金を使うべきかの選択と集中について、またそのタイミングの判断でしょうか。

一番重要なのはユーザーとサービス。だから時間の使い方にしてもスタートアップの集まりにはほとんど参加しませんし、お誘いはありがたいのですがピッチコンテストにも出ていません。時間は有限なのでユーザーに直接関係のないことは、とにかく優先順位を下げる。

お金に関しては、プロモーションコストはほぼゼロ。ロゴなんて入ってない普通の茶封筒をずっと使っていたり、オフィスもおしゃれとは程遠い新橋の雑居ビルです(笑)

スタートアップで現在の状況を考えると(今の判断としては)これが正解だと考えていますし、むしろメンバー全員でこの状況を楽しんでいます。ただ、会社の成長と共に、メンバーと一緒に周辺環境もより快適なものにしていく楽しさも経験できたらと思っています。今頑張っているからこそ、メンバーで将来のことを話すのは楽しいです。

― エニグモの後、いわゆる「出戻り」で博報堂に戻られてますよね。

一番大きな理由は「人」です。一度社外に出た人間でも、ゼロからWEBベンチャーをやった経験を大きく買ってくれる方々から熱心にお誘いいただき「出戻り」ました。新規事業の企画やIT企業への投資業務に携わり、実はいまでも博報堂DYホールディングの個人アドバイザー的な関係で事業開発系のお手伝いをしています。

口コミサイトは信頼性が命

― レンガのサービスづくりで一番大切にしていることは?

とにかく「信頼性」につきます。良質な口コミを集めるために「良い点」と「気になる点」という2つの側面で投稿していただいたり、独自アルゴリズムや目視によるチェックを行なっています。また、東京大学大学院工学系研究科とマンションの価値評価に関する共同研究を行なっていて、口コミと客観的評価による価値評価の独自算出といった試みも行なっているところです。

また、そのサービスを作る人も「善」でなければ「善のサービス」にはならないと考えています。「企業は社会の公器である」という言葉がありますが、レンガに入れば能力だけでなく人として磨かれる、そして磨かれたメンバーが社会に対して善のサービスを提供する、そんな企業でありたいと考えています。

レンガには「人生を助けるサービスをつくる」というスローガンがあります。同じ価値観、同じベクトルを持ったメンバーがいるからこそ、今着実に歩を進められているのだと思います。

[取材・文]松尾彰大

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