たとえ我々のように運転が好きな人でも、通勤時には渋滞にイライラさせられることなくシートに座っているだけでクルマが自動運転によって目的地へ連れて行ってくれるとしたら、魅力的だと認めざるを得ないだろう。問題は、そうして自由になった時間に車内で何をするかだ。目的地に着くまでずっと携帯電話を見ている? それとも、とりあえず本を読みふける?
幸いボルボとエリクソンがこの問題に取り組んでいる。彼らの用意した解決策とは、お気に入りのコンテンツをストリーミングできる、高帯域幅のインターネットをクルマにも導入することだ。このシステムでは単にネットワークの接続状態に頼るだけでなく、運転ルートに沿ってネットワークの状態を予測し、再生中のメディアが中断されないようにビデオコンテンツをバッファすることができる。さらに、走行時間を算出し、ビデオコンテンツの時間を調整できるため、ビデオが見終わる前に座席を離れたり、ビデオが終わるまで車内にとどまったりする必要がない。
「我々の調査によると、2021年までにモバイルのデータ通信量は約70%がビデオ再生で占められることが分かっている」とエリクソンの自動車サービス事業部の総責任者であるClaes Herlitz氏は声明の中で述べている。「これに対応するには革新的な接続、クラウド、そして分析ソリューションが求められる。それも単に高速道路を移動するクルマにサービスを提供するだけでなく、現代の消費者が普段使っているような、高画質でスムーズなビデオサービスを提供する必要がある」という。
2社の共同開発の成果は、ボルボが2カ月ほど前にLAオートショーで発表した「コンセプト26」の流れを汲んでおり、1月6日から開催中の国際家電ショー(CES)に出展されている。今回ご紹介するビデオでは、「コンセプト26」を元にデザインされたキャビンスペースや、ストリーミングにおけるイノベーションを見ることができる。もし、あなたがこのビデオを移動中に視聴するのなら、再生されるまでのローディング時間を確認してほしい。きっとスウェーデンの2社が取り組んでいることが理解できるだろう。
By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年1月17日 Engadget日本版「自動運転車のひまつぶしは動画? 走行時間にあわせた高画質映像を流す技術をボルボとエリクソンが提案」より転載)