アナログシンセサイザーの父ロバート"ボブ" ・モーグ博士の人生を追いかけるドキュメンタリー映画『Electronic Voyager』の制作が開始されました。
モジュラーシンセサイザー・ドキュメンタリー『I Dream of Wires』の制作チームが再び参加しており、モーグ博士の娘 ミッシェルおよびボブ・モーグ財団が協力、現在クラウドファンディングサービスのKickstarterで、映画製作への出資を募集しています。
Netflixでもストリーミングされた『I Dream of Wires』は、楽器の歴史のなかでシンセサイザーがどのようにジャンルを超え、影響を与え、広まっていったかを伝えるものでした。
そして『I Dream of Wires』の制作と監督のコンビが新たに取り組むのは、偉大なシンセサイザーのパイオニアに迫る作品となるようです。
『Electronic Voyager : Retracing Bob Moog's Sonic Journey』は、モーグ博士の娘ミッシェルが、父の人生を追いながらその時々において影響を与え合った、音楽史上のキーパーソンを訪ねていくドキュメンタリー。
制作コンビは、ボブ・モーグ財団から「知られざるプライベートな写真やボーグ作のレアな歴史的作品の数々の取材を許された」と語ります。
一方、Kickstarterのキャンペーンページでは、すでにYesのリック・ウェイクマン、Utopiaのロジャー・パウエル、Totoのスティーヴ・ポーカロ、マリリン・マンソンらインダストリアルロックシーンにも影響を与えたゲイリー・ニューマンらにコンタクトを取り、いくつかのインタビュー映像撮影を計画しているとしています。
また、ミュージシャンだけではなく初期のシンセサイザーのパイオニアたち、音楽業界、技術者、そしてモーグで働いていた人々にも取材する計画とのこと。
Kickstartarキャンペーンでは、25ドル以上の出資で、映画本編をデジタルダウンロードする権利がもらえます。その他の出資枠ではDVD/ブルーレイ、いろいろなグッズなども用意されます。
映画の完成は2017年の予定。なお『Electronic Voyager : Retracing Bob Moog's Sonic Journey』の完成品に字幕がつくかどうかは不明です。出資の際にはリクエストしておくと良いかもしれません。
モーグ博士はシンプルに「お父さん」という存在だったと語る娘のミッシェルが、縁の人々の話から父をどのように再発見するのか、シンセサイザーのみならず楽器に興味のある人、ミュージシャン、音楽ファンなら興味深い内容となることは間違いなさそうです。
ただ残念なのは、モーグ博士との関係も深くライブパフォーマンスにおけるシンセサイザーの可能性を大きく拡げたキース・エマーソンがこの映画に登場しないこと(過去の映像での登場はあるかもしれません)。
この4月に来日予定だったレジェンドは、今頃はモーグ博士と再会しているのかもしれません。
(2016年04月28日 Engadget日本版「「シンセの父」モーグ博士の人生を追う映画『Electronic Voyager』製作開始。秘蔵品やゆかりのミュージシャンも登場」より転載)
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